第二十話

「って事で太郎君も一緒に行くよ」

「わかった」

「あれからお母さんの様子は?」

「とりあえず今日は仕事に行かせないで、休ませた」

「早く、治ると良いね」

「まぁ、ね」

俺は、もう懲り懲りだ。

「じゃあ、今度の日曜日ね」

「わかった」


日曜日。

「あ、ごめん!待った?」

「いや、全然。それにしても、優花着物きて来るなんて、びっくりしたよ」

「へへー。似合う?」

「うん。似合う。とっても可愛いよ」

「ありがと」

やばい。幸せだ。

前なんかこんな事、想像もしなかったから。

俺は、今、とっても、幸せだ。

これが、ずっと続くと良いのに。

「行こう。両達が待ってる」

「うん!」

手を繋いで、行く。他人の目なんか気にしないで、イチャイチャする。

非リアざまぁ。

「あっ。今ダメな事思ってたでしょ〜」

「いやぁ」

「ダメだよ。幸せだからって」

「分かってるって」

だが、俺達は知らない。このやり取りだけでも、非リアにダメージを与えているのを。

「ねぇ!太郎君!たこ焼き食べようよ!」

「テンション高いな。祭りだからか?」

いや、至って平常運転だ。

「ねぇ!射的あるよ!あ!あっちには、リンゴ飴が!」

「分かった。分かったから、一つずつやるか」

「うん!」

食べたり、ゲームしたり、楽しんだ。だが、今回の大目当ては、

『ひゅーん、ドーン!』

「おっ、始まった」

「綺麗…」

花火だ。やはり、とても綺麗で目が離せないでいた。

「やっぱ、いいな」

「ねー」

俺達はものすごく感動していた。

「ねぇ、太郎」

「何だ?」

「また、来ようね」

「うん。」

二人で交わした、青春の約束だった。

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