第四話
「何で、貴方がここにいるんですか?」
先週助けたおじいさんがそこに、いた。
「いやぁ、礼を言いたくてね。あのままだと、ワシ死んでたわい」
「はぁ…」
このおじいさんは道端で倒れていたので、応急処置と、AEDで何とか命を繋いだ。
死にそうだった。でも、良かった。救急車が来る時には息をしていた。俺は救急車が来て、おじいさんを乗せるまでして、帰って行った。何故なら、人に礼を言われるのは、嫌じゃ無いが、むず痒く、恥ずかしいからだ。
なので、俺は人を助けても恩返しされた事はない。
「いやぁ、礼を言いたくてね。あのままじゃ、死んでいたわい」
「はぁ…」
「調べるのに結構時間がかかったからのぉ。礼を言うのが遅くなってしまったわい。
改めて、ありがとう。孫に見守られ無いで死にたくなかったからのぉ。それに、わしの会社がどうなるか」
「会社を経営しているのですか?」
「あぁ、自己紹介が遅れたわい。こう言う者じゃ」
「白音病院長!?」
「そっちじゃないわい」
「えぇ!」
「これじゃ」
「白音機会工場社長…ってどっちにしろ、凄い人じゃないですか!」
「まぁな。わしは白音 父叔。よろしくじゃ。」「はい…」
どうなってるのか、理解がまだ出来ていなかった。すると、いきよいよく、ドアが開いた。
「失礼しまーす!
あれ?おじいちゃん。ここで何やってるの?」
「おぉ。優花。この少年に助けてもらったから、礼を言っているんじゃ」
「この子…、何処かで…あ!あの、絆創膏の!」「あっ…」
朝の子だ。めんどいな。
「絆創膏…?何があったんじゃ」
「かくかくしかじかで、助けて貰ったの」
「そう言う事じゃったのか」
段々話がめんどくさい事になってきた。
ならば…逃げる!
「俺、ここで、帰ります」
「待って!」服の袖を掴まれた。
「まだ、私お礼言って無い」
「べ、別に良いよ」
「ううん、だめ。私が嫌。だから、勝手に言うね。ありがとう」
ドクン!
あぁ、だから、嫌なんだ。この心臓の音が。
恥ずかしくて、仕方なくて、でも、内心は嬉しいんだよ。
「うん」
そう返して、俺は逃げて行った。
俺の青春は、これからだと言うことをこの頃は分かんなかった。
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