Part3

 そして、冒険が始まった。


「構えろ、グラスドッグの群れだ!」

「相手は三頭か。どうする」

「魔法は使うまでもないか。ミミィは下がっててくれ」

「おっけー!」


 敵は草原の獣、グラスドッグが三頭。

 初めてやられた時の痛みや苦しみを思い出し足がすくむクラリスに対し、周りは余裕といった様子だ。


 そんな一人怯えるクラリスに対し、レオンはある提案をする。


「そうだクラリス、あれ全部お前が倒してみるか?」

「え、私……!?」

「新しい装備をあいつらで試すんだ。ちゃんと援護はするから、トドメは全部……やれそうか?」


 三体の獣全てを自分で倒す。一体ですら敵わなかった相手を三体だ。無茶にも聞こえるレオンの提案だったが、クラリスは威嚇する獣へ向けて震えながら剣を構える。


「わかった、頑張る。足手まといにはなりたくないから」


 彼女とて、あの日から何もせずうずくまっていたわけではない。二度と痛い思いをしなくていいよう、修練を重ねてきたのだ。


 これくらいはできなければ、この先仲間と戦い続ける事はできない。そう自分に言い聞かせて、クラリスは剣を強く握り締める。


「リック、左右は俺たちで抑えるぞ。クラリス、まずお前は真ん中に集中しろ」

「わかった」

「行くぞ!」


 そしてレオンの合図と共に、戦闘が始まった。


 ミミィは後方へと退がり、レオンとリックが両翼を押さえ込みにかかる。残った向かってくる一体を倒すのは、クラリスの仕事だ。


「グアァッ!!」

「今!」


 獣が飛びかかった瞬間、角度をつけて盾を構えて受け流す。


 勢い余ってよろける獣。


 一瞬の隙を突いて、クラリスは獣の首めがけて剣を振り下ろした。

 その刃は首を刎ねるとまではいかなかったものの、肉へと深く食い込み首の骨を切断。獣を絶命させる事はできた。


「やった……!」

「いいぞクラリス!」

「やるじゃねえか!」

「さすがクラリスちゃん!」


 初討伐にクラリスは喜び、周りの仲間も称賛の声を上げる。だがまだあと二体だ。

 気を取り直し、死体から引き抜いた剣を構え直すクラリス。


 その後も戦いは続き、数分後。仲間の援護もあり、見事クラリスは三体の獣を自分の手で討ち取る事に成功したのだった。

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