第8話 自覚
月曜日、それは一週間で一番来てほしくない曜日、
別に学校が嫌いではないし毎日が楽しいのだが、その、、何というか、、
原因は昨日、桜と出かけたことのなのだが。
桜が帰った後、ふと『あれ、デートじゃね?』なんて思ってしまった。
『んなわきゃねぇだろ!』と自分に言い聞かせるのだが、やはり一度意識してしまうとダメみたいで、、
「あぁ、もう俺にどうしろと!」
そう朝から叫んでしまった、幸い俺の家は防音が強い。
まぁ、いつも通り接すればいいと思うのだが、、、
無理に決まってんだろ!!
『ピンポーン』
こっちはいつも通りインターホンが鳴る。こちとら心の用意はできてないっつーの。
しかし、ここで変に待たすのもどうかと思ったので、俺はドアを開ける。
「おはよう、フミくん」
「お、おはよう」
今日はポニーテールですかカワイイデスネ。
俺は脳死状態になりかけたが何とか立て直した。
「じゃあ、行くか」
「うん」
家の鍵を閉め同じエレベーターに乗った
――――――――――
「桜、髪型変えた?」
家を出てから、桜は自分の髪の毛のほうをずっと気にしていた様子でこっちを見ては少し不満そうな顔をしていた。
それを見て俺はもしかして、『俺に気付いてほしいのかな?』と勘違いだったら相当恥ずかしいことを思ったが、正解だったようだ
「うん、どう、、かな?」
彼女は嬉々とした表情で聞いてきた、その顔は少し赤かった。
その表情が可愛くて俺はドキッとする。
「えっと、めちゃくちゃ似合ってると思う」
俺にはこれ以上は無理だ、これ以上は心臓がもたない。
「そ、それだけ?」
そう聞いてきた桜の顔は赤みが増していた
あの、、これもう確定で脈ありでいいよね?
「か、可愛いと思う」
俺の頭はオーバーヒートした。
桜も顔を真っ赤にしていたが、明らかに喜んでいた。
―――――――――――
あれから桜とは目を合わせられずに学校に来た。
教室に入った時点でも、まだ少し頬が赤かった気がする。
「おはよう、秀文くん。なんかあった?」
「おぉ、司か、大丈夫だ、何にもない」
「そっか、ならよかった。」
こんなことを司と話していたのだが、
そこに桜が入ってきたのには驚いた、今までそんなことなかったのに。
まぁ、桜に友達が増えることはいいことか、現に司と普通に話せているしな。
だがなぜだろう、桜が俺以外の男子と話しているのを見ると、俺は急に寂しさに襲われ、嫉妬心に火が付こうとするのだろうか。
こんな気持ちになってしまった自分を俺は嫌いになった。
―――――――――――
「桜ちゃん~、ご飯食べよ~」
今日も昼休みが来たようだ、俺は午前中はずっと自己嫌悪になりかけていた。
「あれ、フミくんは誘わないの?」
「う、うん、今日は桜ちゃんと二人で食べたいなって。」
「じゃあ、一緒に食べようか、陽菜ちゃん。」
珍しいな、桜と陽菜の二人だけは、
俺にとってそれは正直ありがたい。
「じゃあ、いってくるね、フミくん」
「あ、あぁ」
とりあえず、俺は一人になれるとこでも探すか、そう思いフラッと教室を出た。
俺は陽菜たちが行った方向と逆の方向へ進んでいった。
「おぉ、フミじゃんか、飯食おうぜ」
「あぁ、ユウか、、一緒に食うか。」
ユウが俺に話しかけてきた、俺はいつも通りの接し方をしたつもりだ、しかし
「大丈夫かフミ?なんか顔色悪いけど。」
「大丈夫だ、それよりどこで食う?」
俺は無理に明るい声で言った。
「うーん、屋上行くか。」
「わかった。」
――――――――――
「なぁ、フミ、悩み事があるなら言えよ。」
やっぱり気付かれてるよな、、
「これはただ俺の気持ちの問題だがいいか?」
俺は正直に話すことにした
「あぁ、そのつもりで聞いた」
やっぱりユウには分かってるよな。
「じゃあ、遠慮なく話させてもらうぞ」
そこから俺はユウにすべて話した、ユウは笑わずに聞いてくれた
――――――――
「そういう事か、、」
「あぁ、、」
俺とユウの間に沈黙が走る。
「フミは桜ちゃんのことをどう思ってるんだ?」
「それが、自分でもあまりわからないんだよ。」
「そうか、、、俺が言っていいのか分からんが、お前、桜ちゃんのこと好きだろ。」
「え?」
俺が前から薄々思っていたことをユウにはっきりと言われて、俺は驚いたがスッと心に入ってきた。
あぁ、俺、桜のことが好きなんだ
俺は今まで薄かったこの感情がはっきりとしていくのがよく分かった。
「ありがとう、ユウ、俺なんかすっきりしたわ」
「おう」
自分の感情がはっきりしたんだ、俺はこれでしっかりと桜と向き合える。
「俺頑張るわ、頑張って桜と向き合う。」
「あぁ、頑張れよ、、陽菜のほうも気にしてやってほしいが」
「ん?なんて言った?」
ユウが後半何を言ったか聞き取れなかったので聞いてみたが
「いや、何でもない、独り言だ」
なんか引っかかるような気がしたが、俺は少し浮かれていたのであまり気にしなかった。
「フミ、これだけは覚えといてくれ、自分の気持ちを大事にしろよ。
ユウが最後にこれを真剣な表情で言った、なぜそんなことを言ったのかは分からないが、
ユウがそこまで言うのだから、何か意図があるのだろう。
「わかった。」
そう言うと、俺はその言葉を心に落とし込んだ。
第一章 【俺なりのラブコメの始まり】 完
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