第4話 いつも通りじゃない日常
『ピンポーン』
いつもはならないインターホンの音に驚きつつも即座に、ドアを開ける。
「おはよう、フミくん」
「え、だれ?」
目の前にはハーフアップに編み込みという髪型が似合っていて、俺とおんなじ制服を着た美少女がドアの前に立っていた。
俺は初めて可愛いと
正直、見惚れてしまった。
「私だよ、どうしたの?私の顔になんかついてる?」
声を聴いてやっと気づいた
「あぁ、桜か、いやなんか雰囲気が違うなって思って。でどうしたの?」
「でしょ?で、その、、一緒に学校行かない?」
少し上目づかいで聞いてくる。
そんなことされたら俺は断れるわけもなく、急ピッチで学校へ行く準備を済ませた。
「おまたせ、じゃあ行こうか。」
「うん。」
マンションから出て、いつもの通学路を歩き出す。
―――――――――
「そういえば、なんで急にイメチェンしたの?」
マンションから出てから間もなくして、無言に耐えられなくなった俺が気になっていたことを聞く。
「えーと、自分の感情の変化?」
桜の頬は少し赤みがかっていた。昨日読んでいたラブコメでこういうシーンが出てきたが、俺は勘違いしない。
ラブコメでこういう発言は脈ありだがここは現実だ、落ち着け俺。
「そうなんだ、どんな感情の変化?」
俺は少しの期待とともにラブコメの言葉をそのまま引用する。
「うーん、ないしょ。で、どう?」
テンプレ通りの返事に、俺は『あれ、これ脈あるんじゃね?』と思ったが、ラブコメではなく現実なんだと自分に言い聞かせ、何とか、思考停止することに成功した。
しかし、思考停止したことにより、頭を経由せずに、目から口へ直接通り抜けた。
「めっちゃかわいい。」
これを発した後すぐに、頭が活動を再開し、
「、、、よかったぁ」
多分桜もこんなに直接的にいわれることが想定外だったのか、少し硬直した後、照れたような表情を見せる。
その表情には
今日は隠すものもないので、表情がはっきりと見える。
俺はその表情に見とれてしまった。
「おーい、フミー!」
後ろからかけられた声に俺は我に返る。
「よ、、、よう、ユウ。」
「、、おはようございます、、、ユウさん。」
なんか桜が残念そうな表情していた気がするが、やっぱりラブコメなのか?
とりあえず、ぎこちない挨拶を済ませた二人を何か面白そうなものを見る目をしたユウの三人で学校へ進む。
その間、二人でユウに質問攻めを受けたのは、ここだけの話だ。
ちなみに、ユウも最初は誰か分かっていなかった
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え、ちょっと待って
陽菜が学校の前に着くとフミが美少女と登校してくるのが見えた、ユウもいたがそれは関係ない。
陽菜は自分の表情が固まるのが分かる。
「よお、陽菜。なんか顔色悪くね?大丈夫か?」
「おはよう、陽菜ちゃん。」
「おはよう、陽菜。」
声を聴きやっと気づいたが、その美少女は昨日まで髪の毛で顔が隠れていた、桜であった。
「お、おはよう、みんな。全然大丈夫だよ。」
『全然大丈夫じゃない』という言葉が口から出かけたがそれを寸前で
いつも通りじゃないがいつも通り校舎へ入っていく。
「それより、桜ちゃんめっちゃ似合ってるじゃん。なんかあったの?」
まだ、桜ちゃんがフミのことを好きになったとは限らない。
「いや、、少し気持ちの変化があって、、」
桜ちゃんはフミのほうをチラチラ見ながら恥ずかしそうに答える。
あ、これフミに惚れてもうてますわ。
謎の関西弁が出てしまうほどに焦っていた。
―――――――――
「じゃ、俺らはこの辺で。また放課後な。」
「おう」
フミと桜がクラスへ入っていき、私とユウが自分のクラスへ向かう。
その間、ユウの表情が真剣になり、私は身構える。
「おまえ、フミのこと好きだろ。」
「え、」
予想とは違った発言とバレていたということに驚きを隠しきれなかった。
「表情と反応からして
「いつからきづい、、てたの?」
「俺がお前に告白した時から。」
「まじで?」
私のフミへの思いに気づいた時と同じ時に気づかれていたなんて、そういえば、ユウの告白を断ったあと、フミから告白されたことを言ったことを思い出す。
ユウはフラれた直後なのに、そんなことに気付くなんてさすがの鋭さだと思う。
「うん、まぁ確信を得たのは高校の入学式の日なんだけどね。」
「そっか、」
「あぁ。で、お前はこのままでいいのか?」
「そりゃあ、ダメに決まってるよ、でもフミは多分私のこともう意識してない。」
「じゃあ、なおさら意識させなきゃな。うーん、今日フミのこと昼飯誘ってみたら?」
ユウは少し考えた後に提案をしてくれた、そういえば、今日私は秘密兵器用意してきたんだった。
「そうしてみるよ、でも一対一だと無言になりそう、だからちょっと手伝ってくれない?」
「まぁ、いいぞ。『あーん』の一回でもしてやれよ。」
「え、あ、うん」
私は顔を真っ赤にしながら教室へ入っていく、しかしやってみるしかない。
私は秘密兵器に賭けてみることにした。
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フミは陽菜のことを意識はしていると思う。
俺はフミに陽菜の気持ちに気付いてほしい、ただそれだけ。
別に二人にくっついてほしいとまでは思っていない、ただ勘違いしたまま終わってほしくないだけだ。
そう思いつつも、陽菜がフミに告白すると、フミは多分恋心がなくともOKしてしまうだろう、
彼が一度関係を壊してしまった経験があるから、、、、
だけどそれはハッピーエンドではない、フミは幸せになれないだろうから。
だから、俺はフミに無理しないようにさせなければならないなと思った。
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俺と桜が教室に入ったと同時にクラスの視線を集めた。
『誰だ?』『めっちゃ可愛いんだけど』
桜は俺の背中に隠れた。イメチェンしたとしても、やはり注目されるのは苦手らしい。流石にこの注目度は俺でもキツイ。
クラスメイトたちが桜によってくる。女子たちは好奇の目線を向け、男子の目線は獲物を見るようなもので、気の弱い桜には怯えてしまうものだった。
そのためか桜は俺の服をギュッと握りより、隠れてしまった。
「ねぇねぇ、あんた名前は?」「その横の奴って彼氏?」
とギャルっぽい二人が聞いてくる、
「えっと、、城山桜、、、です。……、、彼氏じゃ、、ないです。」
桜は怯えつつも答えた、後半のほうの一部分は聞き取れなかったが、顔を赤くしている。
男子のほうは気にしないふりをしながらも小さくガッツポーズをしている奴らがいた。
そろそろ、落ち着きたいということで、俺はどうするか考えた。
俺はあることを思い出し、クラスの中で遠くから見ている女子に目線で話しかけた。その女子も気づいたのか、こっちへ寄ってくる。
「ちょっと?今まで二週間みんな話しかけようともしていなかったのに、なんで急に話しかけたの?桜さん怯えちゃってるじゃない。はい、散った散った。」
「あんただって前怯えさせてたじゃん。」
そう文句を言いながらもギャル二人は戻っていく。
「ありがとうな美郷さん。」
俺は前の貸しを返してもらうのにちょうどいいと思い彼女を呼んだ。
「あぁ、まだ借りは返しきれてないが。」
彼女も気づいていたらしい。
「じゃあ、今日の休み時間ちょっと一緒にいてくれないか?桜がいいと言ったらだが。」
と桜に目線を向ける、美郷さんも目線を向ける。
「私は、いいですよ。」
「じゃあ、美郷さん頼むよ、それで貸しを返してもらうことにするよ。」
「そんなことでいいのか?別に私からしたら苦ですらないんだが。」
美郷さんは意外そうな表情をしていた。
「いいよ、それで桜は相当楽になるだろうし。」
「はい、私実は男子が苦手で、ちょっと怖いので美郷さんに守っていただけたらありがたいです。」
「あぁ、そういうことなら任せてくれ。」
美郷さんがいるなら大丈夫だろう。
だが、すこし桜に伝えることがあったので呼んだ。彼女は美郷さんに何か言ってから、二人で教室の外へ出る。
「あんなことがあったわけだが、美郷さんとは仲良くできそうか?」
「うん、怒ったら怖いけど、それ以外だと優しいし、仲良くしたい。」
彼女ははっきりと答える。
「そうか、ならよかった。」
「あ、でも、、フミくんも一緒にいてね?」
彼女は顔を赤らめながら、男子なら勘違いしてしまいそうな言葉に勘違いしてしまいそうな仕草で頼んできた。
「あ、あぁ、もちろんいいぞ。」
俺はその仕草に思考をぶっ壊されそうになりながらも答える。
彼女はその返事に嬉しそうな表情を見せた。あれ?俺もしや脈ありか?
そんなことを思ったが、時計を見ると、もうじきHR《ホームルーム》が始まりそうなので、そのまま二人で教室へ戻っていった。
―――――――――――
そのあとの休み時間で俺と桜は美郷さん、あとは美郷さんが呼んだ波さんと仲良くなった。
桜も楽しそうに話していたし、俺は選択が間違っていないことを再確認した。
ちなみに近寄ろうとした男子共は美郷さんと波さんの威嚇を受け、そっと方向を変えていった。
改めて、女子は怖いと思った。
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