第3話 修羅場なのか?
私は授業が終わったと同時に、帰る準備を始める。
最初は幼馴染であるフミやユウと一緒に帰ることが多かったのだが、
入学から二週間もたつと、部活に入ってる人がほとんどで、ユウは部活が入ったらしく、
最近はフミと二人で帰っていた、というか駅まで送ってもらっていたというほうが正しいと思うのだが。
私が中一のユウに告白されたときに気づいた感情のせいで、フミと二人きりでいる時に普通に話そうと思っても少し緊張してしまう。どうしよう、、
そう考えながらも、いつもクラスへ私を呼びに来るフミの声を待つ、フミのクラスメイトたちはもうほとんどが帰っていったのだがまだフミは来ない。
10分待ってももう来なかったので、逆に呼びに行くことにした
教室の前に到着してフミを呼ぼうとしたとき、フミが、急に仲良くなった女子である城山桜と階段を降りていくのが見えた。
私は目の前に二つの選択肢が出てきた
『 1.今日は一人で帰る
2.追いかけて声をかけて一緒に帰る。
』
私は迷わずに一つの選択肢を選んだ。
―――――――――
私が選んだ選択肢は
『3.後ろから追跡する』
だ、昔見てたアニメで主人公が『選択肢は自分でつくっていくもんだ!』言ってた気がするので、私の行動は間違ってないはずだ。
どうでもいいことは置いといて、今の状況としてはなんか二人で話が盛り上がっているようだ。
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「あー、桜もそのアニメ見てるのか」
敬語ををやめようとなり、その流れでさん付けもやめることにした。
最初はお互いぎこちなかったが、ある程度慣れてきた。
「フミくんもそうなの?」
桜は流石に呼び捨ては気が引けるらしくこの呼び方になった。
くん付けされたのは小学生ぶりでなかなかに気恥ずかしい。
しかし、桜がそっちのほうがいいなら別に俺はそれでいい。
ちなみに、桜も同じアニメを見ていたらしく、話が盛り上がっている状況だ。
「そのアニメのキャラだとどのキャラがお気に入りなの?」
「あー、俺はあのヒロインかなー、堂々としていることがスゲェなぁって、あとシンプルにめっちゃ可愛いからかな。なんか髪型が好きなんだよなー」
「へー、そうなんだ。」
桜は髪の毛をいじりながら言った。
「そういえば、お前家結局どのあたりなの?」
もう俺の家ももうすぐそこに近づいていた。
「えーと、、次の角を右に曲がって、突き当りにあるマンション、、だけど。」
髪で隠れた顔からも分かる程度に照れていた、その表情に気づき、俺はやらかしたと思った。
今日初めて話したのに家の場所を聞くというのは結構怪しい。しかし、それよりも大事なことに気づいた、
そう、俺の住んでいるところと同じマンションなのだ。
「マジかよ、まさか同じマンションだとはな、驚いたわ。」
「えっ、そうだっt、、きゃっ!」
一緒のマンションに住んでいるということに気を取られたのか、足元の段差に気づかずバランスを崩して顔から道路にぶつかりそうになっていた。
俺はとっさに彼女に手をまわし衝突を阻止した。
「大丈夫か?」
「う、うん」
髪の毛のなくなった彼女の顔が今まで見たことないぐらい、赤くなっているのを見て、俺はこの状況を遅れながらも理解した、
それと同時に恥ずかしさと背後からの冷たい視線を感じた。
それにしても、髪の隙間から見えた顔はきれいで、なぜ隠すようなことになっているか分からなかった。
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あれ、この二人どこまで行く気なんだろう。
こっちはもう、フミの家の近くなのだ、二人でフミの家に行ってしまうのではないか、二人の関係がもうそこまで進んでいるのではないか、
だから、今日フミは私を誘わなかったのではないか、と思考が先走ってしまっている。
フミの場合そういう時は連絡を入れるのだが、冷静になれていない陽菜にはそこまで考えられないようで、焦りつつも追跡を続ける。
そこまで関係が進んでないならそろそろ分かれるはずだと、そう思って見ていると、なぜか桜が照れているようで、フミも恥ずかしそうにしていた。
本当に大丈夫か?と心配になっていると桜が少しバランスを崩したと思った瞬間、桜がフミの腕の中にすっぽり入る状況になった。
二人とも恥ずかしそうな表情が隠し切れなくなっていた。
私はフミをにらんだ。
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ちょっとした、ラブコメ事件がありつつも、俺たちは家に着いた、
あの後は気まずさが天元突破していて、お互い一言も発しなかった。
さぁ、マンションへ入ろうとしたとき、後ろから幼馴染の声が聞こえる、
「ちょっと待てぇーい!」
「え、お前なんでいんの?」
そういえば、こいつと一緒に帰る約束してたわ
放課後の出来事があまりに急展開過ぎて完全に忘れていた。
「いやー、来てくれないからなんか隠し事あるのかなーと思ってついてきちゃった。」
顔は笑っているように見えてもなぜか顔の後ろに般若が見える気がする、
春なのに悪寒が止まらない。
「フミくんどうしたの?」
それにきづいてない桜が心配した声で聴いてきた。
―――――――――
「えーと、コーヒーに牛乳いる?」
「ちょーだい、あと砂糖も」
「私は牛乳だけで」
コーヒーを入れて、テーブルに戻る、俺と桜が牛乳の入ったコーヒーを飲んでいる、陽菜は角砂糖を1つ、2つ、3つ入れたところでやっとコーヒーに口をつける。
「お前どんだけ砂糖入れるんだよ。」
「それはどうでもいいでしょ、なんで二人でフミの家に行こうとしていたの?」
陽菜による、事情聴取(らしい)が始まった
「「?」」
「?、みたいな反応しない!」
本当に何かわからず、桜と目を合わせる。
「何のことだ?」
「陽菜さん、何のことですか?」
「あー、二人してとぼけなくていいから。」
そういえば桜が俺と同じマンションに住んでいること陽菜は知らないじゃん。
「あーそういうことか、今しがた理解した。」
「じゃあ正直吐いてもらおうか。」
「あぁ、信じてもらえなさそうだけど、俺と桜はこのマンションに住んでたらしいわ。」
「へ?」
陽菜の顔から力が抜ける。
「俺らも今日気付いたんだが、なんか生活リズムが合わなさ過ぎたのかな?」
「それなら中学も同じだから顔ぐらいは見たことあるんじゃない?」
「私、高校入学の時に合わせて引っ越してきたんです。」
「あの引っ越し業者はそういうことだったのか。」
「そういうことだと思う。」
「そういえば、二人今日初めて話したとは思えないぐらい親しいけど、何があったの?」
「ただ、アニメの好みがほとんど同じでシンプルに相性が良かった。」
「あっそ。」
どうやら納得したらしい。
「ユウそういえば、なんか三人でやれるゲームある?」
急にそんなことを言い出して俺は驚いたが、こいつはいつも突拍子のないことを言い出すので慣れてしまった。
「あるけど、やるか?」
陽菜と桜が仲良くなるいい機会だと思い誘いに乗った。
「やるー」
「やりたい」
桜も控えめながらも賛同していた。
―――――――――
ゲームにカセットを差して始めた、始めたのは乱闘系の格闘ゲームで陽菜ともよくやっていた。桜もやっていたようなので俺は容赦しない。
「うりゃ、くらえフミ!」
「くらうかよ、バレてんだよ!そんなコンボ。」
「・・・・・・」
俺と陽菜が叫びながらやっているなか、桜はゲームするときは黙ってやる派らしい。
「あー、残機なくなったー、フミ相変わらず強すぎでしょ。」
「だろぉ、それより桜強くない?」
「・・・・・・」
俺はそこそここのゲームをきわめて一応レートがトップ5%に入ったことがあるレベルだ。
しかし、桜は俺と互角、いや、俺が押され始めている。
「おっ、桜ちゃん優勢じゃん、そのままフミをシバいちゃえー。」
結果『俺:三勝、桜:五勝、陽菜:(なぜか)一勝』
このような結果になった時に陽菜が時間も遅くなってきたし帰るといったので、お開きになった。
俺は日が暮れているので陽菜を送ることにした、
三人でエレベータに乗って降りていく、桜は二階で降りて行った。
――――――――――
「フミもしやゲーム下手になった?」
「いや、シンプルに桜がうめぇわ。」
こんなことを話しながら駅まで送っていった。
「じゃあ、また明日。」
「おう、じゃ。」
いつも通り挨拶をしながら、夕日に照らされた陽菜の顔を見て、こいつやっぱり可愛いなと思った。
この感情は恋によるものではないと思う、しかし、そういいきれず、
ただ可愛いと思ったという事実だけが残った。
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やばい、このままだと桜とフミが付き合っちゃいそう。
桜は自分の思いのライバルなのだと気づいた、でも桜と仲良くなりたいとも思っている自分がいる。
フミに送ってもらい帰るための電車に乗ってそんなことを考える。
フミの気持ちが完全に桜に向く前に、こちらを意識させなければという危機感が芽生えた
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私、もしかして、フミくんのことが好きになっちゃかもしれません
でも、フミくんには陽菜ちゃんという可愛い幼馴染がいます。
私はこのままじゃだめだと思います
陽菜ちゃんと
しかし、恋という感情に気付いた今、どうするべきか悩んでしまいます。
「陽菜ちゃん、どっちに転んでも恨みっこなしだよ。」
私は陽菜ちゃんとたたかうことを選びます。
だけど、友達としては仲良くしていよう。
そうして、桜は鏡の前に立つ、
横に置いたスマホには例のヒロインの画像が映し出されている。
桜は変わる道を選んだそうだ。
彼女は髪型をいじり始めた。
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一方、二人の気持ちを知らない秀文は夕食を作りながら、1日を振り返り、羞恥に必死に耐えていた。
「なんか、今日はめっちゃラブコメだったんだけど~」
感動と多少の後悔が入り混じった声が一人だけのキッチンに響いて消えた。
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