第1話 再開と決意
「おーい、ひでふみー、元気にしてた?」
ここ約二年間聞いてなかった声に心の中で自分の黒歴史が掘り起こされた。
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2年半ほど時間をさかのぼる
「俺はお前のことが好きだ、、俺と付き合ってくれ。」
部活終わりの夕焼けに照らされ橙色に染まった空の下、俺は幼馴染である
「ごめん、フミを恋愛対象として見れない。」
分かってはいた、彼女は俺をそういう対象に見ていないと
「それでも、私はフミのこと大切な友達と思ってるから。」
「じゃあ、、、まぁ、、これからもともだちとしてよろしくな。」
「よろしくね。」
この日から、武優がいると三人で話すこともあったが、二人だけだと気まずくて話せなくなった。
半年後、彼女は親の事情で転校していった。
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「おーい、ひでふみー、なんか暗い顔なってるけど大丈夫そ?」
声を掛けられ、我に戻った。
「いや、何でもない。そっちも元気そうでよかったわ。」
「いやー、同じクラスにユウがいるとはねー。で、ユウがいたからフミもいるんじゃないかって思ってたんだけどやっぱり居たね。」
名前おんなじ奴がいるとは思っていたが、よくある名前なので気づかなかった。
「でもクラス表にはお前の名前はなかったはずだぞ?」
「苗字変わったんだよねー、羽崎から青谷に、私転校するときに言ったはずだけど。」
「へー」
その頃は陽菜に関することはシャットアウトしていた状態で聞いてなかった、まぁ今も気まずいが、こいつは気にした様子がない。
とりあえず、二人だけの状況から抜け出したい。そう思っていると目の前になじみのあるシルエットが見えた。
「おーい、ユウ!帰ろうぜー」
ユウがこっちに気づき少し安心したように寄ってくる。
「あぁ、帰ろうか」
「この三人で話すのは久しぶりだね。」
と陽菜が言った、俺は自分で一度関係を壊しているので何を言っていいのか分からなくなる。
陽菜はそれに気付いていない様子で続ける
「とりあえず、近くに人気のカフェあるらしいけどいかない?再会記念ってことで。」
「おれはいいや」
俺は拒否した、しかし
「何言ってんの?あんたに拒否権はないんだよ?」
「行こうぜ、フミ」
「なんでだよ!」
そういえばこの三人になるといつもこうだったな。まぁ、入学式の日から何をしてるかとは疑問に思ったが
彼女に連れられ、駅前にやってきた。俺もユウも家から逆の方向だったが、俺は陽菜が何をしでかすか怖くてついてきた。ユウはなんで乗り気だったか分からない。
カフェにつくと俺とユウは一番安いコーヒーを頼んだ、陽菜はパンケーキとなんかとっても甘そうな飲み物を頼んでいた。
注文したものが届くと陽菜は
「再会を祝って乾杯しよ!」
「なんでだよ!」
「俺らティーカップなんだけど。」
そういいつつもやってしまうのが陽菜の不思議なとこだ。
そう思いつつ、ラブコメで定番の幼馴染展開は無理であると気づく。もう一度告白してフラれているわけだし。
まぁ、俺は今もまだ彼女に好意は消えきってなく、何かきっかけがあればすぐに湧き上がってきてしまうだろう。
整った顔立ちに、明るい性格、比較的誰にでも同じように接し、なかなかにモテる、俺も好きになった一人なわけだが。何故か彼女も告白をすべて断っていた、今はどうせ恋人ぐらい居るんだろうな。
「そういえば、どうなの?フミは彼女いるの?」
急に聞かれたもんだから、飲んでいたコーヒーが気道に侵入してしまい、むせてしまった。こいつ人の痛いところを無意識でついてくるのなんなの。
「おまぁ、、え、、なぁ」
「大丈夫?」
「大丈夫だけど大丈夫じゃない。」
「どうしたの?」
「お前の質問だよ!グサッて来たわ、心臓に、鋭角で。」
「日常生活で鋭角って使うことあったんだ。」
ユウが感心半分心配半分で俺を見てくる。
「まぁ、いないけど。」
平常心に戻った俺が答える
「へー、いないんだ。」
にやけた顔でこっちを見てくる。その表情は少し安心しているようにも見えたが、自分だけ聞かれるのは気に食わなかったので
「じゃあ、お前はどうなんだよ。自信のある表情からしていそうだけど、どうなんだ?」
「うっ、、カウンターが思ってた以上の威力で返ってきた。」
「ちゃんと『おかえり』って言ってやれよ」
「おかえり、私のはなった質問。」
「で、どうなんですか?いるんですかぁ?ひなさ~ん。」
「い、いないけど。」
「いないのかよ!可愛いし、いると思ってたわ。」
「えっ」
やべ、なんかいらないことまで言ってしまった。
言葉を取り消しできるようにする技術を早く開発してほしいと思う秀文だった。
ちなみに可愛いといわれた時の陽菜の顔は赤くなっていた。秀文はきづく様子もなかった。唯一気付いたのは武優ぐらいだが、何も言わなかった。
そのあとは特に何もなく他愛のない話で時間が過ぎていき、電車に乗って帰る陽菜と別れた後の帰り道、もう空は暗くなってしまっていて、ただ人波に逆らって武優と歩いていく。人も減ってきたところで武優が話しかけてきた。
「なぁ、お前中1の10月ごろ陽菜に告白しただろ、俺に隠し通せると思うなよ。」
急に武優が真剣な表情になって話しかけてきた
「ばれてたか」
とりあえず返事だけはしなくてはと思い、返事をしたはいいものの、驚きすぎてこれ以上は何も言えなくなった。
「あぁ、で、実は俺も陽菜に告ったんだよ、中一の12月ごろ」
「マジかよ。」
「なかなかにちぐはぐな告白だったけど気持ちを伝えたんだよ。で、フラれてさぁ
俺も気まずかったけど、できるだけ関係を戻そうとしたら、ある程度は戻せたんだよ、だから、お前も戻せると思うよ、いや、絶対戻せる!」
「お前のその自信はどこから出てくんだよ、まぁ試してみるわ。」
「できればそれより進んでほしいかな」
最後にユウがボッソっと呟いた内容は聞き取れなかったが、そこまで大事なことじゃないだろうし、ユウからしても聞かれたくはないだろうと思い、聞かなかった
俺も関係を戻そうとしたが思った以上に気まずく、何もできずに終わっていた、しかし、親友にこうも言われたらやってみるしかない。それに、さっきもいつもどうり話せたしな。俺は決意をした。
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俺は言おうか悩んでいたが結局いうことにした、このままだと陽菜に後悔が残り、このままだと秀文も気まずいまま過ごしていくと考えたからだ。
俺も確かに陽菜が好きだった、そして告白をしてフラれた。
陽菜に告白したときに秀文も陽菜に告ったことをそこで聞いた。
そのことを話しているときの陽菜の表情で全て分かった、彼女は秀文をふったのは彼女自身の気持ちにまだ気づいておらず、幼馴染という立場から、それは友情によるものだとでも思ったのだろう。
その時俺はこのままだとだめだと思った。
このままだと、この二人は勘違いしたまま離れ離れになる。
この時から、俺は二人の関係を戻す、いや、前進させるためにサポートすると心に決めた
今日の二人を見ていると関係が戻るまでにそう長くはかからないだろう。
フミが早く陽菜の気持ちに気づいてほしいと祈る武優であった。
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私は家に着くと即座にベッドに倒れこんだ、
「フミが私のこと可愛いて言った!可愛いって言った!」
そう私、青谷陽菜は秀文に恋をしてしまっているみたいで、今は頭の中がお花畑になっていると思う。
しかし、一つ懸念点がある、それは私が一度彼をふってしまっているということだ、
もう今になってどうしたらいいのか分からないし、あの時は、まだこの感情を友情とでも思っていた。
それはそうとして、これまでのことはもう割り切ってこれからどうするかを考えることにする。
とりあえず、秀文に好きになってもらうと決意した。
その後、私が眠りについたのは
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