ラブコメがしたい!

薄明 黎

第一章 俺なりのラブコメの始まり

プロローグ 始まりの始まり

  桜の花が葉へ変わりだしたころ。


 俺、黒崎秀文くろさきひでふみはこの高校でラブコメみたいな日々お送ってやるッゥ……


 背中からここ数年間で受けなれた衝撃が走る。

「よう、フミ。なんだよ、お前高校の入学式から悩み事か?」


 こいつは竹中武優たけなかぶゆう、こいつは小学生からの親友兼悪友で今までの9年間ずっと同じクラスだったりする。

 顔は良く、運動神経も名前に負けず抜群で中学時代には月3ほどで告白されていたほどだ。

 正直めっちゃ羨ましい。だがなぜかその告白をすべて断っている、ほんとになんでだよ。


「ちげぇよ!なんでこんな日にわざわざ悩み事があんだよ、なんだ、俺が高校入って友達一人も作れなさそうだと思ってんのか?」


「そこまでは思ってなかったわ!というかお前その返しがすぐ出てくるってことは、あながち考えてたってことじゃねぇか?」


「んなわけねぇだろ!」


 早々に雰囲気をぶち壊されながら完全に浮かれた悪友とともに校舎へ入っていく。


 『白光高校入学式』と書かれている立て看板を見つつ、俺は今日の入学式でここからの三年間学校生活の半分とまではいかずとも、3分の1ぐらいが決まると知っている。

 もちろんデータの出どころは家に多々あるラブコメなのだが、、、


 校舎に入ってすぐのところに探すとすぐ見つかるが、探す気がなければ見当たらないであろう場所に張り出されているクラス分け表を見て、俺と武優が違うクラスになることもあるんだなぁと感心ながら武優のほうを見ると、武優の顔から色が抜けていた。


「どうしたユウ、なんか悩み事か?顔が青ざめてんぞ。俺と離れたのがそんなに悲しいのか?ん?ん?」


「なんでそうなるんだよ!ちょっと俺のクラスの方見てくれよ。」


「あぁ、そういうことか、気まずいだろうなー」


「なんで棒読みなんだよ!ちょっとは心配してくれよぉぉ、、、」


「心配してるヨ」


「してないだろ、はくじょうものぉ、、」


 明るい雰囲気の中に親友の情けない小さな悲鳴がひびいた。




 入学式が無事終わり、クラスへ

 皆が浮かれながらも少し緊張した雰囲気の中で担任の自己紹介が終わり、いよいよ3年間を共にするクラスメイトの自己紹介だ、

 俺は気づかぬうちに手に力を入れていたらしく、手のひらに爪の跡がついていた。


 自己紹介の順番はくじ引きらしく、出席番号が書かれた紙を引くらしい。


「では、出席番号7番。最初だからって緊張するなよー」


 おっ、早速始まったみたいだな、7番の奴可哀想だなー、、、


 あれ?なんでみんな俺の方見てんの?、、、、早速モテ期か?でも男子も見てきてるしなー。


「ちょっと君、君何番なの?」


 後ろの席の気が弱そうで庇護欲が自然とわいてくる男子からさとすような小声で聞かれた。何気に入学式後初の会話である。

 とりあえず答えようと自分の番号を見て表情が固まる。


「え、えーと、、7、、、番」


マジかよと思いつつ、手を挙げた。


 自己紹介で失敗するわけにはいかないと思い練習してきたものの、やはり知らない人の前で話すの勝手が違ったようで、自分でも何を言ったか記憶がない。席に戻ってきたときには後ろの席から軽く慰められたような気がした。


 俺の例の自己紹介を見て安心したのか2人目からは難なく自己紹介をこなしていく。マジでなんなんだよ、絶対俺【自己紹介めっちゃ緊張する人】って印象付いたじゃん。


 そんなことを思いつつ、教壇の上からのワタワタとした感じの雰囲気に目を向ける、そこでは眼鏡をかけていて顔の前には髪の毛がかかっていて顔はあまりわからない。


 まぁ俺は経験ラブコメからこういう女子は眼鏡をはずしたり、髪を整えれば可愛くなると知っている。まぁ前にいる彼女は俺よりも緊張しているらしい。


 正直そんなに緊張しなくてもいいと思ったが、俺もそんなこと言えないほど緊張していたのでその緊張にも納得してしまった。


 全員の自己紹介が終わり、結局誰とも話せず、一人で家に帰ろうとしたとき、背中に声がかかったと同時に体が硬くなることがわかる。


「おーい、ひでふみー、元気にしてた?」

 




 


 


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