第13話
南門から都市の外に出るようだ。母さんが衛兵にギルドカードらしきものを見せていたがその際に、
「お疲れ様です! クリミナルド様! 」
「お疲れ様。今日は息子の魔物狩りに行くから」
と大きな声で挨拶されていた。私の話をしていたのでゼファー・クリミナルドです、と挨拶をしたら、
「可愛らしいお子さんですね」
「私の自慢の息子よ」
可愛らしいのかと思いつつ自慢の息子と言われて嬉しかった。照れながら母さんと衛兵の話を聞く。どうやら母さんが衛兵の人達に訓練をつけていて次はいつなのか話している。少し話が長くなりそうなので、最近教えられた魔力を体の中にとどめるのではなく体の外で纏うようにする。こうすると魔力を外に出す工程が減るので魔法が早く発動できるようになる。また魔力が散りそうになるので『魔力操作』の修行になる。難点は魔力を体の外に出すので肉体魔法が使えなくなることだ。
そうして修行していると話が終わったようなので魔力を散らして、私は初めて都市の外に出た。
都市の外には草原が広がっていた。遠くのほうには林が見える。周囲には魔物の影は見えない。
「あの林に行くわよ。歩くのと走るのどっちがいい? 」
と聞いてきたので走ることにした。そうして走ること5分ぐらいでついた。もっと時間がかかると思っていたが思いのほか早く着いたためびっくりした。改めて林のほうを見る。日が差しているため暗い印象がなく木の間隔も広いので剣を振ることが出来そうだ。そして林に入りながら母さんから林での歩き方や採集物などについて学んだ。その途中遠くで私よりも5歳ぐらい上の人たちを見かけたりもしたがお互い関わることはなかった。そうしてしばらく進むとゴブリンを見つけた。
魔物図鑑に書いてあった通り緑色の肌に醜悪な顔をしていた。こちらは見つかっていないようなのでどうするのか聞くと、
「自然魔法を使わずに剣を使って倒してきなさい」
と言われた。まだこちらには気づいていないようなので近づいて一気に仕留めることにした。念のため『身体強化魔法』で限界まで身体能力を上げて近づいた。こちらに気付いたが剣の間合いに入ったため首めがけて剣を振った。そしてなんの抵抗もなく首が飛んだ。えっと驚いているとゴブリンから返り血を浴びてしまった。呆然としていると母さんがやってきた。
「どう。初めて魔物を倒した感想は」
なんか思っていた以上に弱かった。そう答えると、
「魔物が弱かったんじゃなくてあなたが強いのよ」
と言われた。そう言われても比較対象が母さんしかいないので自分がどのくらい強いのかわからない。
それでこのゴブリンをどうするの?
「どうするのと言われても魔石を採って終わりよ」
燃やしたりしないの?
「ええ。それに燃やさなくても自然にマナに変わるわよ」
マナ? と聞くと、マナとは空気中に漂う魔力のことらしい。それが固まってできるのが魔物だ。そういうわけでたくさん狩っても魔物はいなくならないみたいだ。まあ魔石を使って生活してるためそのほうがいいみたいだが。
人型の魔物の魔石は大抵胸の中央にある。他の種類の魔物の場合は違う場所にあるみたいだ。そうしてゴブリンから魔石を採り終わるとふと疑問がわいた。死体がマナに変わる採った素材もマナに変わってしまうのではないか? それを聞くと、
「魔石はマナに変わらないわ。それと他の素材は専用の容器に入れるわ。これよ」
そう言ってビーカーのような容器を見せてきた。
「これは道具屋で買えるから後でゼファーの分も買いに行きましょう。それと魔石を冒険者ギルドに提出すれば討伐の実績としてカウントされるわ。とりあえず今日はもう帰る? それとももう少し狩る? 」
まだ暗くなるまで時間があるし体力と魔力も有り余っているためもう少し狩ることにする。そうしてゴブリンを12匹狩って帰宅した。
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