詩篇

@tsumogiromi_8842

過敏症候群

花粉臭い痺れを感じつつ、今日も休むこと無く働く。

辛い辛いと口を滑らせ、安易に聞こえ難い戯言に一人、耳を傾ける者が居りました。

「聞こえておりまする、お嬢様。」

済みませン、済みませンでした···

莫迦莫迦しく吐いたその言葉は、自ら出した高いこゑに柔らかく包まれる。

一人の御者は微笑を浮かばせ、「気になさらないでくだされ、私も花粉が辛く感じます」

と、淡い粉を吐いて見せた。

御者は咳き込む素振りを見せつつ、ほほほと薄ら笑いを零す。

見えぬらしき舌打ちをする。

余程耳に悪い言葉だったんでしょうか、顔が強ばる様な頗る恐怖を感じました。

鳥肌が立ち、それが段々蕁麻疹へと化し、アナフィラキシィな反応を起こしました。

呼吸も荒々しく、棒を叩く音で敏感に羽ばたく鳩のような、そんな軽い発作を感じました。

人間に対する恐怖は差程変わりません。しかし私はその人と話す事を拒みたく思う。

あぁ、辛い、辛い···

また一人が厭になる。

花粉症が二倍くらい重々しい。

そう過剰になり、悔やむ生き恥を覚えます。

残る傷跡を増やしつつ、頗る疲れが迚辛い。

又ひとつ、厭になる。

身体からでなくとも、何時に勿れど、私は未だ目が痒い。

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