第4話英雄と呼ばれる前の話 その4

戦争した国 レモニウム

自国 エルデバラン


登場人物

新人冒険者商人の ゴトー 15 

酒場の主人 モゲ

ミグロ 勇者 25

エフカ 大魔術師 28

ピロリ 回復 21

ドルマ 索敵 21

スペイド 母 39

学友エルス 15

ランドリー 先輩女性冒険者 ランクC 18


【本文】

索敵方法はゴブリンの場合

人間が森に近づくと偵察隊の3匹のゴブリンが出てくる

ゴトーは教えられた通り いったん引いてやり過ごし、ゴブリンが移動すればまた近づく

森から出てこようとすると、武器で威嚇する

実際に出てきたときは氷魔法を使う

怪我をすると一斉に怒って出てくるので、怒りださないように足元に集中して地面に命中させる

ゴブリンたちがおよそ40mまで近づいたら本気で火魔法で攻撃するが、今回は出番がなかった

落ちこぼれだがこれでも魔法剣士、ゴブリンたちでは超えられない壁だ

もしゴブリンが撤退したらゴトーもいったん距離をあけ撤退

こういった順序でミグロさんとエフカさんはひたすら角収集のみに専念できた


エフカ

『やっぱり魔法剣士は偉大だわ 一人で収集以外すべてできたんだから』

ゴトー

『教えてもらったとおりやっただけですよ』

ミグロ

『いつもは3人で交代しながらやるんだ 回復のピロリはずっと中で角拾いだがな』


『いいメンバーだった 俺が集めたパーティーで今回が一番楽で量が多い』

『ただ4日角拾ってればよかったからな』

ゴトー

『それよりいいんですか 1/5じゃなくて1/3でそれも霜月売却ですよ』


ゴトーが南に運んだ馬車の戻り便は南の森での収集物が目いっぱい入っていた

採集物はすぐの買い取りでゴトー単独の実績にしてくれた

金銭と実績の少ない新人冒険者には本当にありがたい


ミグロ

『俺のパーティーのやり方だ』

『クエストごとに均等分割 商人に即時売却が基本だ』

『金は必要だが、金でもめるのはごめんだよ』

『それよりゴトーは大丈夫か?2か月収入ないぞ』

ゴトー

『母と同じ西北の酒場で働きます』

『これまでも学校が休みの時には働いてましたし、母と違って朝と昼だけです』

『これまでの週2が毎日になるだけですよ、問題ありません』

『そうすれば母は夜だけになりますし働けば食えますから。。。大丈夫ですよ』


エフカ

『そうか俺らはオーガ退治に行くんだ どうかなと思ったが』

『母さんの負担を減らすことが優先なんだな』

ゴトー

『はい 最優先です』

『オーガ2体倒せば830枚に値上がりしてますよ』

『これは値下がりはしばらくないですね』


エフカ

『いいことを聞いた』

『この辺でお開きにするか じゃーなゴトーまた頼むわ』


そういってミグロさんとエフカさんと別れる

ミグロさんとエフカさんは冒険者組合近くの宿屋に泊まっていく

次のオーガ討伐の準備もしてあった

ゴトーは馬車を使わず80分歩いて自宅に到着し食事の用意をした

用意が終わると母のスペイドがちょうど帰ってきた


ゴトー

『母さん おかえり 明日の朝から西北の酒場は僕が行くからね 夜だけお願い』

一切行くなというときっと自分の心配だけしなさいと4時間ぐらいお説教を食らうので夜だけは是非にとお願いした


母スペイド

『そう、、ありがとう 夕食をもらうわ』

ゴトーの作った夕食を食べる母をみて


疲れているだろうにいっさい疲れたとは言わない

5年休みなく朝から夜まで働くとか超人の域だ

ゴブリンの角でしばらく過ごせる


2か月酒場で働いたらかあさんは朝と昼はやめて夜だけにするという提案をしたが無駄だと分かった

次は自分で稼げるようになったから、少しは楽に過ごしてくれるように頼んでいたがまあ無駄だった

今度は実入りのいい冒険者になったのに、心配で出かけれない作戦でやってみよう

ゴトーはこの時そう思っていた


母のスペイドは夜だけ出勤の提案を受け では夜だけはやめましょう

他はこれまで通りで余計な心配をせず自分の仕事をしなさいだそうだ

ゴトーにも自分にも厳しい母だ


翌日から休日の日課だった西北の酒場に向かう

朝から出発して西北の酒場に6:30につき朝の冒険者用の食事を作り始める

3人で手分けして寸胴14本作りつつ芋をふかしていく

寸胴は100kgが入るが、60kgしか入れない

寸胴は2つ積んでいき、余れば自宅に持ち帰る


討伐に向かう冒険者向けの長い期間なら80kgにして4本積みこむ

西北の酒場は農作業に向かい長くても2日分で人数は12-15人

これなら通常は寸胴2本だ


西北の酒場は周囲で大規模に食料生産をしていて、いたるところに農作業用の小屋がある

自宅に戻るより小屋に泊まって農作業を長い時間できるように2日分の食料を持っていく

先に書いたように農作業は12名から15名で行い3日目に戻ってくる


8時ごろになると北行きの冒険者が集まってきて11本予約分がなくなり馬車に積まれていく

それが終わるころはだいたい9時頃

9時を過ぎると今度は近隣の朝の農作業者向けに、芋と寸胴で煮てある野菜スープをセットで出す

およそ30分ほど忙しいがそれが過ぎれば今度は昼食の用意だ

豚をさばいて下味をつけて焼いたものを鍋にいれ煮込む

人気の トン汁を作っておく

今日の定食は豚のヒレカツ定食なので作っておく


お昼になると昼から出発の冒険者と何日かぶりに戻ってくる冒険者でごった返す

冒険者向けの寸胴はここで無くなり、戻ってきた冒険者は昼間からお酒を飲む

お酒のつまみは別の担当者がやりゴトーは夜の下準備だ

スピードが勝負の戦場は昼の3時ごろまで続く

それを過ぎると夜の仕込みと次の朝の準備を2時間ほどして仕事終わりだ


6時前に出発しここまであまり休憩をとれていないが、これをずっとやってきた母

これに加え夜の仕事もこなして帰る、頭が上がらない


ここの北の酒場の主人 モゲに夜だけの仕事に控えてくれるよう頼んでおく

5年間毎日休みなくだ、少しでも楽にさせたい

モゲは朝と昼で十分といっているが、母が少しでも家計の足しにしたいとずっと働き詰めだ

ゴトーは母が楽にならないと冒険者になった意味がないと繰り返しても無駄なので

心配で外に行けない作戦に切り替えるとモゲに話している

母が出勤してきたので引き継いで帰る


自宅に帰ってこれまで通りゴトーは母向けの食事を作っておく

昼食は勤務開始前に食べてもらうようにして少しでも楽をしてもらう

ゴトーは自分の夕食と母の朝食用の用意をして母の帰りを待つ


これを母が夜だけ出勤に折れるまで続ける

一度言い出したらなかなかうんとはいわないが、そのあたりもモゲに言ってある


16日たち神無月の13日、母がやっと折れて夜だけの出勤にしてくれた

昼も出るといって聞く耳がなかったが

朝は母を休ませる、そうじゃないとゴトーが冒険者として心配で動けないと連日言って来たかいがあった

その代わり夜は23時の最後まで働くといったので

21時で終わらんと心配で冒険に行けないといってみるが折れない


頑固者同士の根競べの開始だ

残念でしたね お母さん 頑固者比べでは負けませんよ


ゴトーがその場では折れて朝6:00から21:00まで働き母と同じ勤務にした

23:00閉店を待って母と一緒に帰る

これを8日 21日まで続けたら、やっと母が折れた

16:00から21:00厳守で北の酒場で周知してもらった

やっとこれで冒険に行ける、お互いなかなか頑固だ

この頑固な母を動かすにはそれ以上の頑固者にならないといけない

クエストのほうがよっぽど簡単だ


霜月に入りもくろみ通り32%ほど値上がりしてところでゴブリンの角を売却する

冒険者組合はこうした金銭分配の仕事もする

手数料は払うがこういった分配で揉めるパーティーもある

事前に決まっていたが何人か割に合わないからとで変更もない話ではない

そういった連絡と調整も組合の仕事で依頼クエストの調査ランクを決定

人員の配置、国への報告、税金の支払いと仕事は多い

本来は新人冒険者の仕事だが、母の説得が難しいので西北の酒場に向かい西冒険者組合に行けそうもなかった


今回のゴブリンの角の分配は1/3だが予定より32%多い

その確認の通信をミグロさんとエフカさんにそれぞれ確認する

了解が取れれば商人から売れた時に分配金が入る

今回の場合は不足していたのですぐに買取だった

即時入金、初給料 銀貨560枚

当座の生活費銀貨160枚をもらい他は貯金に回した

次のクエストの募集を見る


何度見直してもクエストボードにはやはりAランクはない

パーティーマッチングを依頼する

待合で待っているとすぐに連絡がある

通信結晶に出てみるとミグロさんパーティーの魔法剣士ドルマさんから南の森の調査依頼がある

ゴトーの初仕事の街道で魔物の実数調査と採集物調査だ

この間の角回収でよさそうだとの話をきいて誘ってみたとのことだった


出発は霜月の20日

この西冒険者組合に19日に集まるとの事なので、すぐに仕事を受けた

今回は南の森の調査依頼は収集系の先発調査だった

ドルマさんは収集系の仕事もしている

柵外の調査で次の柵内する場所の調査もやっていた

Aランクの仕事ではこういった誰かについていく仕事ぐらいしか仕事がない

少しでもクエストを受けてランクをCにあげないと自分だけで動けない

クエストボードにはCランク以上のものがほとんどで駆け出し冒険者が受けれるクエストはやはりない

領土の拡張で採集の仕事が増えているがそれもAランクの仕事では受けれない


ドルマさんとの調査の仕事が終わり、収集品調査もした

商人ゴトーの才能を発揮して予定外の収集品で銀貨410枚ほど予定より多く稼いだ

エルスとの金儲け談義様様だ


空きの日数で他のクエスト募集にも応募してみる

次はアロエ採取の仕事があり返答待ちだ

返答はあったがもうアロエ採集は終わりごろで今回は見送るとの事

なかなかAランクでは仕事はない

結局霜月の19の仕事からはドルマさん以外の柵外の仕事はなく、実家近くの近隣農家の手伝いと、駆け出し冒険者らしく西と中央の冒険者組合の手伝いをして過ごした

商人として相場のチェックは欠かせないし、何か良い産物を作り儲けたいものだ


ゴトーは師走の19に中央冒険者組合にいく

といってもそれまではほぼ毎日冒険者の手伝いでアルボレナ中央の冒険者組合に来ている

新人ご用達のクエストボードへのクエスト貼り付け、冒険者の分配金の連絡等組合の仕事をしつつ顔を覚えてもらう

西の冒険者組合は半笑いだったガンビラさんが収集系のスペシャリストで仕事が早く

ゴトーの出る幕があまりない


組合の仕事をしている師走の10日にエルスが遊びに来てくれた

今は兵士になり魔法剣士として働いている

「ほぼ毎日訓練訓練訓練で足腰が立たないよ」と愚痴をこぼしていた

神無月にも来てくれていたが、その時は北の酒場で働いていて空振りだった


ゴトーは「勉強が終わったらまた一から勉強だよ エルス 成績はいわなくてもわかるな?」といっておく

エルスとの最下位争いは苛烈を極めていた

エルスは「落第勢の中ではトップ争いだ 期待しているぞ ゴトー」といって去っていった


エルスもゴトーも1年早く卒業しているので、優秀じゃないかという声が聞こえてきそうだ、断じて違う

商人の息子であるエルスは商人項目は優秀だ

本業の巡回警備に必要な習熟訓練をさぼり、各相場の確認をしてどうやったら儲かるか議論で忙しかった

1年たとうが10年たとうが成績は最低限より上がる機会はない

卒業に必要な訓練と教練は必須のものを合格の認定を受けたら、習熟は一切やらずに

次の卒業に必要な訓練を受ける

こんなやり方で卒業だけ早くした

エルスは回復魔法の成績が常に最低で本当にぎりぎりだった

ゴトーは剣技がぎりぎりで剣では卒業できそうもなかったので槍と弓で合格した


中央の冒険者組合はほかの冒険者組合に追加して冒険者組合の仲介の仕事が追加されるが駆け出し冒険者ではそんな仕事は回ってこない

ゴトーのようなAランク冒険者は見たことがない偉い人たちで、教えてくれたのは

ランドリーという先輩女性冒険者だった

実働部隊ではなく4か所ある冒険者組合の割り振りの連絡が仕事と書けばわかってもらえると思う


さて師走の19日になった

夕方になり続々と集合する先輩冒険者と交代兵士たち

ゴトーから見ると40名の大捜索隊だが毎月1度このような周辺を巡回する

通称”索敵巡回”というものが行われる

索敵だけではなく実際に討伐も行う本格的なものだ


ゴトーは中央冒険者組合で受付をしつつ、翌日の出発の準備をしている

誘ってくれたドルマは16:00ごろ到着した


ドルマさんは索敵の先輩でCからDに上がったばかりだ

魔法剣士としても先輩で誘われたときはうれしかった

個人的な事情も知っていて話しぶりからも頼りになる


今回は西に向かい強敵との戦いもあるかもしれないので誘ってみた

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