第8話 4人組結成

 九郎と玉枝は帰宅すると玉枝が夕食を作る。

 おかずは、鶏肉が入った根野菜の煮物である。野菜は丁寧に面取りされている。

 玉枝が九郎に料理の出来栄えを聞く

 「お味はどお。」

 「おいしいよ。」

 「おかわりは、私でいいかしら。」

玉枝は一言多いため、九郎の感謝の気持ちは目減りする。

 九郎が風呂に入ると玉枝は丁寧に体を洗ってくれる。

 「図書館ではありがとう。」

 「あの霊のこと、九郎ちゃん危なかったのよ。憑りつかれるところだったわ。」

 「玉枝さんは、僕に憑りついていないの。」

玉枝は笑いながら言う

 「一緒にいるだけよ。私が憑りついたら死んじゃうわよ。」

 「一緒にいてくれるだけでいいです。」

九郎はまだ死にたくない。やっと女の友達が出来たのだ。人生これからなのである。

 寝ると玉枝はネグリジェ姿で添い寝してくる。九郎は精神統一しながら眠りにつく。

 朝起きると玉枝は朝食を作ってくれている。今朝はご飯でみそ汁と卵焼きに子持ちししゃもを焼いたものである。

 大学へ行くため、九郎が着替えると玉枝は桜色のワンピース姿になる。

 「どお、似合う?」

 「似合っているよ。」

九郎はきれいだと思うが玉枝に言うと図に乗ると思うので言わない。

 大学へ着くと木村つよしが声をかけてくる。

 「翼、おはよう。」

 「おはよう。」

 「社本さんと一緒じゃないのか。」

 「違うよ。」

 「昨日は社本さんと1日一緒にいただろ。」

九郎は、昨日のことを思い出し、1日一緒にいたことに気づく。

 「そうだね。」

 「どうやって、あの社本さんを落としたんだ。」

 「友達になっただけだよ。」

 「うらやましい奴め。社本さんかわいいから、みんな声をかけていたんだぞ。」

 「みんなって、木村もか。」

 「俺も撃沈している。」

 「社本さん人気あるんだ。」

 「知らなかったのか。どこまで行ったんだ。キスしたか。」

 「友達になっただけだよ。一緒にお昼食べて、レポート書いただけだよ。」

 「あっ、レポート忘れていた。見せてくれ。」

 「昨日、教授に提出したよ。」

 「そうか。」

つよしは肩を落とす。

 教室に入って九郎とつよしは並んで席に着く。そこにあやめが九郎の隣に座る。あやめの隣には女子が座る。あやめの友達のようだ。

 あやめが九郎に挨拶する

 「おはよう。今日は友達と一緒?」

 「木村つよしです。友達だよな、九郎。」

つよしは、九郎を名前で呼んで友達アピールする。

 「そうだな、つよし。」「おはよう。社本さんも友達と一緒?」

 「柏木美琴かしわぎみことだよ。みこと呼んで。」

 「みこさん、よろしく。」

つよしが軽い感じで挨拶する。

 美琴が言う

 「あなたが翼君ね。あやめから聞いているよ。」

 「翼九郎です。」

九郎は答えながら、あやめが霊が見えることを話したのではと思うが、あやめが口が軽いはずはないと考え直す。

 「昨日、2人でレポート書いたんでしょ。いいな。私、まだ書いてないのよ。」

つよしが美琴に言う

 「みこさん、俺、レポート書いていないから一緒に書きましょう。」

 「本当、約束よ。」

 「講義のあと図書館でどうですか。」

 「あそこ、幽霊が出るよ。」

 「僕がついているから大丈夫だよ。」

 「なら、お願いします。」

つよしはちゃっかり美琴と約束を取り付ける。

 美琴は小柄で笑顔がかわいい女子である。

 4人は、午前中の講義を揃って受ける。

 昼食は4人揃って学食へ行く。九郎とあやめは弁当、つよしと美琴は学食のランチである。

 美琴が九郎に言う

 「翼君、本当に弁当すごいね。これだけ料理できるって尊敬するなー」

 「九郎、料理できないて言ってなかったか。」

つよしの突っ込みに九郎がうそを言う

 「料理できるって恥ずかしいじゃないか。」

 「料理男子は持てるんだぞ。」

九郎は心の中で玉枝に謝る。しかし、玉枝は弁当を褒められて喜んでいる。

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