第2話 混浴
翌朝、起きると怨霊は九郎の左腕につかまって寝ている。左腕から柔らかい感触と胸のボリューム感が伝わってくる。
九郎は思わず赤くなる。惚れたからじゃないぞといない誰かに言い聞かせる。
それから首を振り
「起きてください。」
「目覚めのキスがないと起きれないわ。」
「塩撒きますよ。」
「私に効果ないわよ。」
「いつまでいるつもりですか。」
「私を見える人、久しぶりだから当分はいるわよ。」
九郎はめまいがしてくる。
「こんな美人が一緒でうれしいでしょう。」
「悪夢です。」
「私がいたらいいことあるわよ。」
「怨霊と一緒なだけで不幸です。」
怨霊は聞いていなかったように話を変える。
「ところで名前、聞いていなかったわ。」
「自分から名乗ったらどうですか。」
「私は、たま・・・え、
九郎は名乗っていいのかと考えながら言う
「僕は翼九郎です。」
「よろしくね、九郎ちゃん。」
「いきなり、ちゃんづけですか、玉枝さん。」
「一緒に寝た仲でしょ。」
九郎は赤くなる。
「九郎ちゃんかわいい。」
「やめてください。」
九郎は部屋の片づけを始める。昨日は、疲れて寝てしまい片づけの途中なのだ。
玉枝が九郎に聞く
「朝食はどうするの。」
「朝食は抜きます。寝不足で食欲無いんです。」
「ちゃんと食べないとだめよ。」
九郎は、怨霊が健康の心配をするのかと思うが黙っておく。仕方なく、彼は食パンを焼き始める。
「そうそう、ごはんを抜いたらだめよ。」
玉枝が言うと九郎が聞く
「玉枝さんも食べますか。」
玉枝は笑い出す。
「怨霊が食事できるわけないでしょ。」
九郎はむくれる。
彼は1日かけて部屋を片付ける。夕食は、インスタントラーメンで済ませる。
風呂の入ると玉枝が入って来る。もちろん全裸である。
九郎は、慌てて言う
「何、入ってきているんですか。」
「洗いっこしましょ。」
「自分で洗います。」
「人の親切を
「全裸で入ってきて何言っているんです。それに怨霊でしょ。」
玉枝は、九郎の言葉を無視して、シャンプーでタオルを泡立て始める。
「九郎ちゃん座って。」
九郎は首を振る
「座って。」
玉枝の目が怖い、九郎はしぶしぶ従う。相手は怨霊である怒らせるのはまずい。
玉枝は背中から洗い始める。そして腕から手と丁寧に洗ってゆく。
「前を向いて。」
「いやです。」
「わかったわ。」
玉枝は手を前に回して洗い始める。九郎に背中に玉枝の胸が当たる。
彼は精神統一を試みるが下半身は正直である。玉枝が腹から下を洗い始める。
彼女は言う
「嫌がっていた割には、体は喜んでいるね。」
九郎は怨霊相手にこんな状態では何も言えない。
玉枝は足の指まで丁寧に洗ってくれる。さらに髪まで洗ってくれる。
玉枝は言う
「次は私を洗ってくれる。」
「いや、その・・・」
「冗談よ。体無いんだから洗う必要ないでしょ。」
「でも、物を持ったりするでしょ。」
「私が強力な怨霊だからよ。強いのよ。」
「それが、なんで体洗ってくれたの。」
「九郎ちゃん、気に入ったからよ。」
「まさか今夜も添い寝するつもり。」
「当然よ。ムラムラしたら相手してあげるわね。」
「結構です。」
九郎は、怨霊相手に欲情したら人間失格になると考え。添い寝はしても欲情はしないと決心する。
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