ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!!~世界が滅びる未来を知った五人の少年少女はヒーローになる約束をした~
第1話 「ズーンッ!」からの「バイーンッ!!」からの「ギューンッ!!!」 5 ―追跡せよ、英雄たちよ!!―
第1話 「ズーンッ!」からの「バイーンッ!!」からの「ギューンッ!!!」 5 ―追跡せよ、英雄たちよ!!―
5
「タァッ!!!」
「トウッ!!!」
「ハッ!!!」
セイギ、ユウシャ、アイシンは透明になった柏木を追い掛けた。
柏木は長い舌を使ってだろう、本郷の駅前に並ぶビル郡を次から次に飛び移り逃げていた。
それを英雄たちは追い掛ける。
では、何故透明になった柏木を英雄たちは追い掛けられているのか、それは柏木が透明になる瞬間に柏木の体に纏わり付いたピンク色の光=アイシンが投げたキュアリバのお陰だった。英雄たちはキュアリバの光を便りに柏木を追い掛けているのだ。
アイシンが腕時計を叩いた回数は五回。一回分のキュアリバが自然消滅する迄の時間は十五秒。それが五回分なのだから、柏木の体に纏わり付いたキュアリバが消えるまで一分十五秒かかる。
この時間の間に柏木を捕まえようと英雄たちは必死に柏木を追い掛けた。
しかし……
「ボッズー、残り十秒しかない! キュアリバが消えた後、ミルミルミルネを使って透明になった柏木を見付ける事は出来るか!!」
英雄たちは一向に追い付けなかった。
柏木は素早いのだ。素早いのが柏木なのだ。
「う~ん……セイギ、それはミルミルミルネを"熱を関知して見る状態"にすれば、透明になってる相手も見付ける事は出来るかもしれないけど、見付けても動き回ってる相手を捕まえるには結局は追い付くしか方法は無いボズよ!!」
「そんなの分かってる! でも、バケモノになったアイツにも体力の限界はあるだろ! いつまでも逃げ回れる訳じゃない!! その時にお前がミルミルミルネでアイツの居場所を見付けてくれていたら俺達は捕まえられる!!」
「なるほど、でもそれなら俺はこの場所から動けないぞボッズー! 追跡に参加する事が出来ないボッズー!」
「それで構わねぇ! 今日のボッズーはミルミルミルネで俺達の司令塔になってくれ!!」
「分かったボズ!!」
ボッズーが自分の役割を確定させると、次にアイシンがボッズーに話し掛けた。
「ボッズー、ごめんね! 私がもっとキュアリバを使えば良かった! そしたらボッズーに手間掛けさせないのに!」
「何言ってんだボズ! キュアリバには使用回数の制限があるって教えただろボッズー、一気に使っちゃったら使いたい時に使えなくなるんだから、五回で適数だボズ! 良い判断だったボッズーよ!! それに、キュアリバの光のお陰でミルミルミルネが大分やり易くなるんだから、こっちからはお礼しか無いボッズー!!」
「そうだぞ桃井……いや、アイシン! キュアリバは五回で十分だ! アレは体に纏わせたら鎧になるんだろ? 余りにも大量のキュアリバを柏木に纏わせてしまったら、攻撃をしても防がれてしまうんだからな! それに、謝るなら俺の方だ! 威嚇射撃なんてせずに直接柏木を撃てば良かった」
このユウシャの言葉を否定するのはセイギだ。
「いやいや、ユウシャの判断は適切だぜ!! あの時、柏木は人間の姿を保ってた! そんなアイツにレーザーを当ててたら柏木は死んでたかもしれない! それは絶対にダメだ!!」
………こんな会話を英雄たちがしている間に、遂にキュアリバは消滅してしまった。
―――――
さぁ、ボッズーの出番だ。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!!!」
ボッズーは息を止めて《ミルミルミルネモード》の青い瞳に更に力を入れる。すると、晴天の空の様な青さが、より濃くなってネイビーブルーへと変わった。額に浮かんだ血管もドクドクと脈打つ。
睨む、睨む、睨む………
もっともっと!と睨む……
「ぐぐぐ……来た! 来たぞボッズー!!」
ボッズーの視界はサーモグラフィーカメラで見た様な光景に変わった。
「ぬぬぬ……三人一組で跳んでるコレがセイギたちだなボッズー! それじゃあ、キュアリバ……ぬぬぬ……キュアリバのあった場所はぁ!! ん? んんん?? ぬぬぬぬぬぬぁぁぁぁぁんだこりやぁぁぁあああ!!!!!」
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