第3話 空が割れた日 22 ―相手にとって不足はねぇ!!―

22


「うわぁ……めちゃめちゃ多い、スターウォーズみたいだ……」


「冗談を言ってる場合かボッズー!」


「あ……っと、ごめん、そんなつもりじゃなかった」


 ガキセイギがそう呟いてしまったのも仕方がない。だって、新たに現れた光体の群れを見たガキ セイギの脳裏には、昔見た映画の光景が浮かんだのだから。

 それは、"隊列を組んで並ぶ無数の船団"……でも、映画と違うのはガキセイギの仲間の数だ。映画の中では敵も多ければ仲間も多い。100ならば100がいた。しかし、ガキセイギの仲間はまだまだボッズーしかいない。


「もう……こりゃザッと見て100対2だぞボズ」


「あぁ……」


 おそらくボッズーの目測に間違いはないだろう。新たに現れた光体の数が100体いる事は確実だ。


 でも、


「でも!! 相手にとって不足はねぇなッ!!」


 ガキセイギは吠えた。今の彼の頭の中の辞書に『怯え』の二文字は無いのだ。何故なら、ガキセイギの仮面の奥の瞳には、まだまだ《正義の心》の炎が煌々と燃えているのだから。圧倒的な数の敵を見ても、弱音を吐く訳がなかった。


「相手が何人で来ようが関係ねぇぜ!! 敵が100体いようが、やる事は同じなんだ! ボッズー、さっきも言ったろ? アイツらが町に手を出す前に絶対にぶっ倒す!! 分かってるよなぁ!!」


 彼らの"世界を救う冒険"は始まったばかりだ。そして、その冒険のゴールは世界に平和をもたらす事のみ。ならば、どんな敵が現れようとガキセイギは戦う。


「そうだなボズ……」


 それはボッズーだって同じ。たとえ敵の数が莫大でも、勝利を目指して進むのみ。


「やるっきゃないボッズー!!」


「おう!! んじゃ、行くぜぇッ!!!」


 燃える闘志を胸に、ガキセイギとボッズーは光体の群れに向かって飛んでいった。

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