第21話 ハデルはメイドと意気投合する
「それこそ愚問ですね」
パシィが
「妖精族
「プライバシー!!! 何のための扉だと思ってんの! 」
「バレていない、と勘違いして上司の悪口を言う人の弱みを握るための盗聴器でしょうか? 」
「
「お褒めに預かり光栄でございます」
「褒めてねぇ! 」
俺がツッコむとパシィは少し落胆の表情を浮かべて俺をみた。
「ハデル様ならわかっていただけると思ったのですが……」
「何故に?! 」
「共に恥ずかしがっているサラシャ様を
いつの間に俺は同志になったんだ?!
「良いですよね。恥ずかしがっているサラシャ様。あの慌て具合に火照り赤みを
その様子を想像すると確かに彼女の言葉は否定できない。
が……。
変態さんだぁぁぁ!!!
やべぇ。両腕で自分の体をぎゅっとして顔を赤らめ「はぁはぁ」言い体をくねらせている彼女はまごうことなき変態さんだ!
中々に
そう思っているとパシィは火照らせた顔をこちらに向けて一言告げる。
「同志決定ですね」
「いつの間に?! 」
「先ほど同意された雰囲気を感じたので」
くっ! なんだこのメイドっ!
読心術でも使えるのか!!!
「良いじゃないですか。同志ハデル。今ならサラシャ様に関してお得情報を差し上げますよ? 同志ハデル」
「聞こうじゃないか。同志パシィ」
手を組みすぐさま身を乗り出してパシィを対面のソファーに座らせる。
彼女もノリが良いのか少し悪い顔を作り、近づけた。
「サラシャ様は……」
ゴクリ。
「エロいです」
「やはりか」
「ええ。ご本人は自覚しておりませんが
「具体的には? 」
「まずはジャブ程度に風呂上り。その小柄な体躯から突き出る双丘。白い肌を水滴が描く美しい曲線美っ! 大きくない! しかし程よい大きさが良いのです!!! 」
それを聞き俺は席を立って無言でパシィとがっしりと握手をした。
再度席に座り話を続ける。
「次に寝起き。朝日差し込む一室で、体を少し
「……これはエロではない。同志パシィ」
「というと? 」
「エロスだ」
俺とパシィは立ち上がり、再度無言でがっしりと握手をした。
すると「バタン! 」と音が鳴る。
「陛下に取り次いできたよ。謁見の間で待ってるって……二人共何してるのさ」
サラシャが中に入ってくると俺と同志パシィは何事もなかったかのように握手を
俺が何を言おうか考えているとパシィがサラシャに言った。
「サラシャ様がお考えになっていることはなにも。ただ……」
「ただ、なにさ」
「サラシャ様はエロい、と
「な、何言ってるのさ! ボ、ボクはまだそんなことしたことないのにぃ! 」
「したことない? 」
「な、何でもない!!! 違うからね。ボクはエロくないからね! 」
「俺はエロいほうが好きだがな……」
「え……じゃ、じゃぁ」
「さて冗談はその辺にしておいた方が良いかと。それよりもサラシャ様。謁見はよろしいので? 」
パシィにそう言われ、サラシャが気付く。
「いけない! 行くよ。ハデル! 」
「おう」
そう言いサラシャに手を引かれ俺は扉へ足を向けた。
ちらっと後ろを振り返り同志パシィを見る。そこには俺に親指を立てて「ぐっ! 」としている彼女がいた。
俺も空いている手を使い無言で親指を立て「グッジョブ」と返し、そして俺達は分かれるのであった。
★
「ここが
「流石に豪華だな」
しつこさの無い豪華さだ。
ちらほら輝く宝石のようなものが見えるが不快に感じる程ではない。どちらかと言うと人界から魔界に来る時潜った門の方が豪華である。
軽く右目に力を
力を解いて前を見る。
サラシャがこちらを向いて一言言った。
「さ。行こう」
そして魔国の騎士が扉を開けた。
★
俺は赤い
実際この魔界においてもそのイメージは間違っていないようで、俺は今薄暗い中をサラシャと歩いている。俺達が歩く両隣には
この世界に生まれて早三百年になるが魔王城に入ったのは今日が初めてだ。
いやダンジョンの中に設置されていた魔王城のような城ならば攻略のために入ったことはあるが、統治者としての魔王と出くわしたことは今までなかった。
噂に聞くところによると神が創った三界の、その魔界の魔王は実力主義らしい。
なるほど。俺の想像通りの魔王だ。
しかし今日から俺の上司になる。ならば頼もしいこの上ない。だがここは実力主義の魔界。弱気は禁物。見限られないように強気の姿勢で行かねばな。
カツカツカツと音が鳴る。
それ以外には何も聞こえないが、前を行くサラシャの奥に魔力の塊のようなものが二ついるのは分かる。
恐らく魔王とその側近だろう。
しかし魔王とは言え側近が隣に控えていないのはどういうことか。通常ならば護衛の為に数人配置しておくものだが。
魔王の自信の表れか、それとも俺が気付けないレベルの護衛がいるのか。
注意を払いながら歩いているとサラシャが止まる。それに合わせて俺も足を止めた。
サラシャの頭越しにまずシュラーゲンが見えた。あの人執事じゃなくて
そう思いながらも目線を移す。そこには一つ高い段に
そしてサラシャが
すると椅子に座った美女が一言告げた。
「ご苦労」
と。
———
後書き
こここまで読んでいただきありがとうございます!!!
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