宇宙人、風呂へ

嘔吐したものを綺麗に片付けたあと、

メールに気がついた。

メールには

「今日はありがとう。プレゼント嬉しかったよ。」

と、書いてあった。


私は

「こちらこそ楽しかった。次は僕がお店を探すからね!」と、返信をして風呂に入った。


…………。

そして、現在入院してから未だに風呂には入れていないことに気がついた。

冬なので汗はかくことはあまりないが、自分がすごく匂っている事はわかっている。


いつも通り看護師が私のところに朝の挨拶をしにきた。その時

「今日はお風呂入れますよ。どうされますか?」と、聞かれたので


私は入ることにした。


風呂は男性女性の交代制で、

時間も決まっていた。


私はその時間よりも早く風呂の支度をするように伝えられて、30分早く連れて行かれた。


看護師と2人で風呂まで行く

脱衣所に着くとそこでまた3人待っていた。


私は4人の看護師の前で服を脱いだ、

そして全員で風呂場に行き

私な黙って頭から洗い始めた。


後ろから静かに監視されているため

自分から発生する音ひとつひとつが反響していた。


洗っているところをこんなにも見られることがなかったので

とても居心地は悪かった。

洗い終わった時、後ろから

「お風呂に浸かりますか?」

と、聞かれた。


早くここから出たかったので、

「大丈夫です。もう出ます。」と伝え再び脱衣所で監視されながら服に着替えた。

入院中はじめてのお風呂はこんな感じだった。


ここに来てから私はどこでも監視をされている。


言い方は良くないが、

ここは刑務所のようだ。

決まった時間に起きて決まった時間に薬を飲む。

決まった時間に食事をとり、決まった時間に寝る。

空いている時間は歩き続ける。

大部屋でもどこでも朝も昼も夜も

大きな叫び声やものを投げる音が聞こえる。


看護師は問題が起きたら患者を保護室へ片付ける。


ここは地獄だ。

なのに、少しずつ居心地が良くなっている。


私は壊れはじめている。


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