自殺する宇宙人

河童敬抱

第一話 幸せな自殺

私は人間、いや。社会不適合者…そんなかっこよくもない。うーん。宇宙人だな。そうしよう。

私には両親がいて、妻がいて子供が3人いる。仕事も人の為になるやりがいのある職業についている。

車もあるし、バレンタインにはチョコレートももらえる。一言で表すなら「幸せ」だ。

では、なぜ?今私がストレッチャーに乗せられ首を固定されながら騒々しい救急車で運ばれているのか。それは今朝首を吊って死のうとしたからだろう。理由なんて覚えていない。両親がいようが、妻がいて子供が3人いようが、人の為になるやりがいのある仕事があろうが、車があってチョコレートをもらおうが、死にたかったから首を吊ったのだ。間違いないのは私が「幸せ」であること、そして、生きていくには「欠陥だらけ」な宇宙人であるということだ。

そんな整理のつかないことを考えながら私は目を閉じて気を失った。

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