第43話
翌朝。雷さんに聞きたいことがあったのを思い出して、大急ぎで姉の家へ。
「朝からうるさいんだけど」
雪乃は不機嫌だ。
「雷さんは?」
「あんたが送ったでしょ?」
「あ、そうか。まだ実家?」
「ちょっと!もう行かないで!紗絵さんはたぶん…雪見と会いたくないはず…起きてるはずだし…」
「いいじゃん別に」
昨日会って散々言われたし。
「だめ!雷くんに電話しなさい」
「電話知らない。メールしか」
「もー!私の携帯でかけなさい!」
「貸して。もしもーし」
返事ないなぁ。
「なにー?眠いよー、雪乃ちゃーん」
「あ、雪見です」
「え!雪見くん!?おはよー今どこ?」
「雪乃の家」
「あんた、敬語!」
いて。なんで殴るんだよ。
「俺もすぐ帰るよ!」
元気そうだ。昨日がみがみ言われなかったのか心配だった。雷さんは電話を切った。
「まだ寝てたのに起こして。ひどいやつよね」
「俺、雷さんと話したいから歩いとくよ」
「ちょっと、雪見!雷くんと仲良くしすぎないでよね?私より雪見を気に入ったら困る!」
「はー?俺は男だし?お前と違うだろ」
歩いてる途中で、雷さんと会えた。
「あれ?帰るのー?」
「雷さんは、子供作れますよ。怖がらなくて大丈夫です」
「うん、ありがとう!」
まぶしい笑顔だった。揺るがない気持ちだ。あの時見た。
「…よかった」
「雪見くん?どうしたの?」
「…なんでもないです」
ちゃんと、俺は役に立てたかな。一度言霊を払ったとしても、いくらでも言霊に囚われてしまうから…不安だったんだ。
雪乃より、近い存在であるからこそ、本当はもっと遠ざけたい。
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