跡継ぎになってみた

えいみ

言霊

第1話

「誰?」


そう言いつつ、ドアを開けてくれた。義兄あにらいさんだ。姉の旦那である。


「あれ?」


「こんにちは、お忙しいところすみません」


雪見ゆきみくん!」


道をあんまり覚えてなかったけど、嫁のみるくが覚えてて教えてもらった。気になることがあったから、どうしても話をしなくてはならなかった。


「姉とは喧嘩してしまいましたが…雷さんと話をしたくて」


「そーなの?嬉しい!中入ってよー」


とても気さくで、優しい人だ。


「その服なに?変なの」


「寺の服です」


作務衣さむえというジンベエみたいな服だ。楽だし、ほぼこの格好になりがち。デニムとか持ってるけど、修行あるし着替えがめんどくさくて、今はほぼ作務衣。昨日この家に来た時は、病院だったから作務衣を着てなかったかも?珍しく。


部屋は昨日よりも散らかっていた。散らかしたのは姉の雪乃ゆきのだろうな。だらしないやつだから。


「寺?って?」


「お坊さんのいるところです」


「へー?お坊さんなの?」


「違います。キャバクラのボーイです」


「えー!?キャバクラ!?すっげー」


最初、俺もなんかすごいと思った。けど思ってたのと違ってきついし、借金返済のために働いてる。

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