なれない
Rotten flower
第1話
白い箱の中で目が覚める。いつまでここにいればいいのだろうか。生憎、というか当然のことだが私にはわからない。ただ、この冷たく重い空気が少し嫌いだった。
肩に少々の痛みがあった。針に刺されるような、そんな突き刺すような痛みではなく、象に乗られるような
目を閉じて寝ようとする。無事に横になって寝れたかと思ったが電撃が一瞬食らったかのような痙攣が起こった。すると、脳内に響くパチンコ屋さんから漏れる騒音。信号機の音。そして、歩道を歩く
鉄が軋む音がする。信号機が揺れている。次の瞬間、信号機が音もなく外れ、きれいな風を切る音を鳴らした。下にはきっと私がいるのだろう。そのまま、後頭部に衝突。体は鈍い音を鳴らしたまま倒れた。
じゃあ、この白い箱は何なのだろうか。天国、はたまた地獄。それとも生と死の狭間とか?またわからない疑問が一つ出てきた。なにか小説のように転生するのだろうか。それとも天国や地獄で
ただただ神様を待つこと。いや、一方的に待つこと体感10日、何故かこの空間では飲まず食わず寝ずで行動できる。ただただ好きな音楽を脳内再生しながら端的な毎日を過ごしていた。
転生ものの主人公を待ち望んで何日立っただろうか。
いい加減変化がほしい。昨日から新しく
全てが閉ざされて果てしない時間がたった。魔法陣が床に現れる。青白い光が放たれる。神様と思わしき人物が出てきた。
神様が口を開く。
「すみません。手違いがありまして、只今現世にお繰り返しますので。」
私の時間はどこへ溶けてしまったのだろうか。
結局、主人公にはなれなかった。
なれない Rotten flower @Rotten_flower
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