第8話 親がいない生活②
あのあとすぐにベットに向かい、二人で寝た。咲希は布団に入るとすぐに寝てしまった。寝顔も最高に可愛い。俺の訳あり彼女は最高に完璧な女の子だと思う。
朝も目が覚めてリビングに向かうと、咲希が朝食を作ってくれていた。なんて完璧な女の子なのだろう。なんだか申し訳なく思えてくる。そして、咲希に「昨日はあんなに好き勝手、咲希をいじめたのに、朝食も作らせてごめん。」と謝ると、「私が最初に誘ったんだから、いいよ別に、謝んなくても。ましてや、颯太のお姉ちゃんだし、彼女だから、面倒見るくらいはしなきゃね。」とニコニコしながら答えてくれた。本当に優しい子だ。こんな子が俺の彼女でいいのかと思う。
「それじゃ、いただきます。」
「いただきます。」
二人で朝食を食べ始め途端、家に一本の電話がかかってきた。
「誰だろう、こんな朝早くから。」
そう言い、俺は電話をとる。
「もしもし、どちら様ですか?」
「あっ、この声は颯太か?俺だ。父さんだ。」
「えっ、父さん?どうしたの?」
「いやー、それがさー、仕事が大ごとになってしまってよー。この仕事が片付くのに二週間ぐらいかかるんだけどさ、大丈夫か?家に帰れなくなるが。」
どうやら、後輩の失敗が少し大ごとになったらしい。
「大丈夫だよ。心配しないで。紗栄子さんだって一緒に仕事の片付けしてるんでしょ?さっさと片付けて家に戻って来なよ。それまで待ってるからさ。」
「ありがとよ、颯太。咲希のことも頼んだぞ。」
「はい、わかった。じゃ、頑張ってね。」
「OK、俺も頑張る!それじゃーな。」
そう言って、電話を切った。今言われたことを咲希に話すと、
「そっか、当分家には帰った来ないのか。まぁ、私たちならなんとかなるでしょ!」
「そうだな。今は飯食って、早く学校行かないといけないな。」
「そうだね。」
二人で急いでご飯を食べて、学校に行く準備をする。10分後、二人で家を出る。
「颯太は今日もまた変な目で見られるのかな?」
「そうだと思う。」
「いっそのこと、みんなに私たちが付き合ってることを言ったら、もう構って来なくなるんじゃない?」
また、始まった。咲希の天然が。
「そんなわけない。もう二度と咲希の隣に入れなくなるかもしれない。」
「嘘!それだけはやだ。」
「ならバラさないいでいこう。」
「わかった。」
咲希がまだ素直だから、救いようがある。素直すぎるのも困るのだが。
朝食を食べ終え、学校に行く。そして、一日授業を受ける。まぁ、視線の強い生活もだんだん慣れてきた。もう、この生活にもさっさと慣れてしまわないと。
帰りも咲希と一緒に帰ってきた。ここである一つの問題が発生。玄関に見知らぬ誰かの靴がある。父さんたちは帰ってきてないし、まず女性の靴。ますます、誰だかわからない。咲希にも尋ねるが、わからない、とのこと。俺は気合いを入れて、リビングに入る。
「誰だ!!!」
「おっ、君が噂の颯太君?」
「だっ、誰ですか?」
見た目は大学生くらいの女性。どこか懐かしい顔をしているが、気のせいだろう。しかしなぜ俺の名前を知っているのだろう。こんな人は俺の知人にはいない。ただでさえ、女付き合いが苦手なのだから。
「私?私のこと知らないの?」
「知りません。誰ですか?」
「本当に?なにも話聞いてない?お父さんとかお母さんからさぁ。」
「だから本当になにも知らないですって。」
そう言って、いると玄関で待っていろと指示した咲希がリビングをのぞいてきた。すると咲希はいきなり、
「お姉ちゃん?だよね?」
と言い出す。俺は固まる。咲希にお姉ちゃんがいたのか?なにも知らないぞ。
「おや、これは私の可愛い妹よ!久しぶりだな!」
「久しぶりとかじゃなくて、いつ帰ってきてたの?」
涙目になりながら、その『お姉ちゃん』という人に抱きついていた。
「そんな、泣くほど嬉しいのか。あはは、そんなに妹から好かれていたとは。嬉しい限りだな。」
「おねえちゃーん」
もう、ギャン泣き状態。こんな咲希見たことがない。『お姉ちゃん』が本当に好きだったのが身にしみて伝わってくる。にしても、どう言う関係なのか、今までどこにいたのだろうかなど、聞きたい話が山ほどある。俺は二人に一旦席について話をしましょうと勧める。
「あのー、お名前聞いてもよろしいですか?」
「そうだった、まだ教えていなかったな。私の名前は島崎望美。今はもう立花望美だけどな。ちなみに大学4年生。」
「ほう。で、本当に咲希のお姉さんでいいんですね?」
「なにをそんなに疑ってるんだよ。正真正銘、血のつながった姉妹だよ。」
初耳だ。父さんは知っているのだろうか。これで知っているなどと言われた日にはもう二度と口を聞きたくないレベルだ。
「私は高校卒業と同時にアメリカの大学に入学してて、日本に帰ってきたのも、これが初めてなんだ。だから咲希とも3年間会えてなかったって訳。」
「そういうことだったんですね。」
「お姉ちゃん、またアメリカに戻っちゃうの?」
「それがだね〜。」
そう言ってニコニコしている。何か言うのを躊躇っている。
「なに?早く言ってよ、お姉ちゃん!」
「わかったよ、言うよ。なんとな、日本の会社に就職することが決まったんだ!もうこれからは日本にいるぞ!」
「本当に?やったー!」
どうやら就職先が決まったようで、大学も無事卒業できるらしい。相当頭がいいんだな。それは咲希もか。
そして、ある事実に一つ気づく。
「あのー、もしかして、この家に引っ越してくるんですかね。」
「そうだよ。これからはよろしくね、颯太!」
やっぱりか。そんな予感はしていた。隣で咲希が喜んでいるが、俺としてはやっと咲希と仲良くなれたのに少し悔しい気持ちもあるが、咲希が喜んでいるので、まだ許せる。
「あと一週間ぐらいしたらアメリカに一旦戻って、用事を済ませたら、そこからはもうアメリカに行くことはないと思う。」
「じゃー、一週間はこの家にいるってこと?」
「そう!お母さんたちも色々あっていないらしいから、代わりに私が面倒見てあげるからね!」
「ありがとうございます。」
「なんだよ、その堅苦しいのは。颯太。これから敬語使ったら、罰を与えようか?そうでもしないと直らないだろ?」
咲希のお姉さんだから、性欲は少し強いだろう。俺は罰と聞いて、よくない方向に頭が‘傾く。別にえっちな罰ではないかもしれないのに、勝手に頭が妄想し始める。いけない。いけない。
「わかった。ごめん、お姉ちゃん。」
「言えるじゃん!まだ堅苦しい感じではあるけど慣れていこうねー。」
そういい望美さんは俺の頭を撫でてくる。お世話付きのお姉さんな感じがする。
ってなわけで、これから一緒に暮らすことになった望美さん。なんとも風呂に入りたいと言って、入ってしまった。ちょっと強引なところがある。そして俺と咲希は緊急作戦会議をする。
「お姉ちゃんが帰ったきたのはすごく嬉しい。だけど、私たちの関係を明かすとなると、、、。」
と咲希が言う。
「確かにそうだけどお姉さんなんだし、しっかりと話せば分かってくれそうな気がする。」
「颯太がそう思うなら、そうなのかもしれない。まぁ、お姉ちゃん優しいしね。なんとかなる気がする。」
「そうだね。」
そんなこったで今日の夕食の時に俺と咲希が付き合っていることを望美さんに伝えることにした。
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