第49話 丘頭桃子警部の捜査(その16)
丘頭警部は実際にスナック蘭から舛上宅まで車で行き、通用門から中に入り、椋の部屋のトイレに置かれた炭酸ガスボンベの栓を開けスナックに戻ることが25分で可能か走ってみた。使用する道は椋が使ったと思われる監視カメラのない通りだ。
実験を3回繰り返した結果、平均は27分ほどとなり実行は可能と判断を下した。
さらに、椋が事件の1週間前ボンベを仮名でネット購入していたことが、空き家の前でボンベを授受した際の受領サインと、椋が会社で直筆した書類の文字との照合により明らかになる。15キロのボンベを2本買っていた。
そして、事件の朝7時過ぎに家を出てゴルフ場で練習を始めたのが8時半。真っすぐ行けば30分程度で着く距離だから40分から50分は空白時間がある。片道20分から25分、距離にして10キロから15キロのエリアにボンベを捨てた可能性が高いと考えて大捜索を始めた。
都内地図を広げ、足立区の荒川沿いのゴルフ場に赤丸を付ける。そこを中心に半径15キロの円を描く。その中から浅草より北方面に位置する足立区、北区、葛飾区に絞って廃ビルや廃工場と、荒川、葛飾区を流れる中川に限定して100名体制で捜査を始める。膨大な面積の捜索となり最低でも2か月はかかるだろうと踏んでいた。
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