第26話 ぶつかり合い
「だったら私もそうしようか。」
その言葉に嫌な予感がした俺は”俺”と共に後ろに下がる。
「ほら、頑張りたまえ。」
予想通り。現れたのは二体目のバイオ野郎だった。見た目のキモさに変わりは無いがなんかスタイリッシュだ。
手には一体目と同じく二本の刀…
「何っ?」
ではなかった。背中から更に二本、腕が伸びていてそちらにも刀。計四本…
「まずいな。」
だが作戦を練る間もなく突っ込んでくる四本腕。”俺”と二人掛かりでもかなり危うい。何故か今は動かない一体目が動き始めたらもう…負けるだろう。
「仕方ない。研究所くらい壊さず…と思ってたが無理だ。……やるぞ。」
後ろに下がり、”俺”に少しの間任せる。何かを感じ取ったのか俺へと攻撃をする四本腕を必死に止めてくれている。
段々俺の周りから風が消える。激しい戦闘をしているはずなのに無風となる。
「下がれ、”俺”」
そして”俺”が下がると同時。かつて斗亜に見せたような威力の風弾が放たれる。四本腕は壁を突き破り吹っ飛んだが、安心は出来ない。
「障壁はまだ壊れていない。だから研究所からは出られないはずだ!行くぞ!」
一体目を放置して俺達は四本腕を追う。四本腕はかなりの距離を飛んでいき、結果的に俺が本体を見つけるために開けた穴へと落ちていった。
「あの下には壁に大量の武器が用意されている。気ぃつけろよ。」
「りょーかい。」
俺達も飛び降りるが、待っていたのは二体の四本腕だった。一瞬思考停止に陥る俺。攻撃を反射的にバックステップで回避し、改めて向き直る。
容姿は同じ、持ってる武器も同じ。腕力は異常、重さも異常に軽い。
「とりあえずこれだな。」
そう言い”俺”は部屋全体を氷漬けにする。上手く俺のいる部分は凍らせなかったが、四本腕は両方氷の彫刻と化していた。
「でも…来るぞ。」
氷漬けになっていたのも数秒。直後に四本腕は水蒸気を大量に出しながら氷を割って出てきた。
「水蒸気……?」
何か、ヒントがある気がする。命懸けにはなるが、戦闘しながら見つけるしか無さそうだ。
同時に突っ込んでくる四本腕。一体目の袈裟斬りを懐に潜って回避し、腹に風弾を叩き込む。それと同時に背中からも風弾を当て、吹き飛ばないようにする。
そして硬直した四本腕に”俺”が太刀を突き刺すが、軽く刺さるだけ。
「どんだけ硬ぇんだよ……」
だが一つだけわかった。風関係の攻撃は割と当たるようだ。
さっきから一体ずつしか攻撃してこないのが気になるが、あまり頭を使いたくない。弱点探しでとてつもなく頭を使っている中ほかの事も考えていたら戦闘に死傷がでる。
この調子でヒントを見つけながら殺るしかないだろう……
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