第13話 厨二病が目覚めた結果
「良いぞ。」
「……え?」
「いやだから。飼っていいぞって。」
「あ…ありがとう。」
父の帰宅後。猫を抱いて降りてきた俺を見た父の一言目は良いぞだった。俺はありえないものを見たかのような顔で父を見る。一番反対するであろう父が一番簡単に許可を出した。明日は槍でも降るんじゃないか…?とりあえず俺は拾った経緯を説明し、言っていなかったおかえりを言う。
「名前は…どうするんだ?」
「まだ決めてないよ。」
「そうか。明日にでも色々買いに行こう。名前を早く決めてやれよ。俺はそいつの飯を買ってくる。」
「うん。ありがとう…」
謎すぎる。何故こんな簡単に父が許可を出したのだろうか。だが、この子を飼えることになったのは嬉しい。玲に報告だ。俺は猫を抱えて部屋に戻った。
『明日槍降るぞ。』
『どしたw』
『俺と猫を見た父さんの一言目が良いぞだった。何も言わずに許可得れたw』
『でもそれって理由気にならん?お父さん厳しい人でしょ?』
『そうなんだよな…後名前も決めないと。』
『頑張れ。僕は一旦落ちるよ。』
『ん。じゃあな。』
玲とのやり取りを終え俺は改めて猫を見る。なんの警戒もせず俺のベッドで寝ている。名前…どうしようかな。それにあの時の謎の現象と声についても考えなければ…
まず何故急に落下速度が遅くなったのか。そしてあの声の正体。あいつは一体…
「呼んだか?」
「え?」
「いや呼んだかって。俺の声はお前にしか聞こえねぇぞ。」
その声の正体について考え始めた瞬間脳裏に響いたのは紛れもないその声だった。
「呼んだかも何も…」
「わざわざ声に出さなくても会話できるぞ。」
ほんとにできるのかよそんなこと…
「ああ。聞こえてる。」
できたわ。そんでこいつは何なんだ。落下速度は急に遅くなるし。
「この声でわかるだろ?俺はもう一人のお前だ。」
いや確かに声は同じ?っぽいけど…
「んで落下速度に関して。お前が元から持ってた力だ。夢に対する思い。今では厨二病とか言われるが、実際その厨二病が力に目覚めちゃった!てのがお前。まぁ俺だけど。」
つまり俺は厨二病すぎて本当の力に目覚めた。んでこいつはもう一人の俺。なんかかっこいいな。こうして簡単に受け入れるのも厨二病だからだろう。
もうそれで納得しよう。実際俺厨二病だし。
「まぁそういうこと。てことで呼んだら来るし来た時以外思考は読めないから安心しろ。」
りょーかい。さてと…何が出来るのかまだ試してないからわからんが…玲にも話すか考えないとな…でも玲よりあいつに先に話すか。最初は非現実的すぎるしアニメ、小説繋がりの玲に話そうと思ったけど実際付き合いも長いあいつの方が良いだろう。決して玲が信用できないとかではない。ただ、付き合いが長い分話しやすい…っていうことだ。
「ご飯できたよ〜!」
「はーい!」
話すのは明日でいいか。とりあえずこの子の名前だ。お母さんの声で目覚めた猫を抱いて俺は下に降りる。自分の足取りがとても軽いことに気づいたのはだいぶ先のことだ。
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今日からまた間に合えば毎日更新にします。
他キャラ目線も別小説として出してるのでよかったら読んでください。
プリ小説にもカオス学園を書き始めることにしました。いつになるかは未定です。
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