第4話 それは聞いてない。
全員でホログラムを見て一時間目の時間を潰した後、休み時間のうちに自分の部屋の要望リクエストのタブレットみたいなやつにさっきのアイディアを記入した俺。教室が体育館のすぐ横だったのは覚えやすくて良かったのだが。問題はそこではなかった。
「えーと…これはどういうことだ?」
時間割の場所にはデカデカとご自由にお過ごしくださいと書いてあった。昨日は明日の最初に校舎案内と書いてあったのだが。
「とりあえず全員席に着いたな?」
「全員座ったよ!」
りぃなに確認し、俺は教壇に立つ。
「自由らしい。だから今日は今俺達がいる学園について話そうと思う。」
「こんな特殊な学園にいる理由とか教えるの?」
「それはまだ話せないな。色んな意味で」
ふうかにはそう言ったが、いつ話せるかはわからない。全ては俺の判断だからだ。とにかく学園に着いてまとめるため、俺は黒板ならぬ電子黒板に文字を打ち込んでいく。教壇にはキーボードがありそれで文字を打ち込む感じだ。
・ここにいるのは”旧カオス組”のメンバー。
・一部それ以外の人もいるが、全員顔見知り。
・授業などは完全自由。好きにして良いらしい。
・なんか知らんけど超最先端の技術で作られた学園である。
・開校式とかの指示も含めやらなきゃいけないことはカメラの奥にいる大人から指示がある。
「なんか質問あるか?」
「はーい!なんで僕らここにいるんですか?」
希空の質問に俺は思案する。皆はここが特殊なのはわかっているが、まだ楽観視している。ここに連れてきたのも親だから、珍しくて楽しい学校に通えるくらいにしか思っていない。てかさっきふうかもそれ言ってただろ…と思う俺。
だがさっき言った通りここにいる本当の理由はまだ話せない。クチナシのような頼れる人にも。いつか話せる時が来るまではな。
「確かに転校とかではないし不思議だよね…」
先程まで荒れ狂っていたクチナシも疑問に思っているようだ。今すぐ話せないのがもどかしい…けどなんて誤魔化せば良いのか…語彙力ないのが悔やまれる。
「とわにぃも知らないの?」
「俺もわからん。ちょっと考え込んでたわ。なんでだろうって。」
りめあに助けられたな。俺はそう思いつつ周囲の反応を確認する。怪しいと思っている人はいなさそうだ。
「他に質問あるやついるか?…いないな。じゃあ…今日は何したい?」
「ドッジボールせんか?」
きりがそう提案する。
「ドッジボールしたいやつ手挙げ…早いなおい。」
俺が言い切る前に全員が挙手をしていた。
「じゃあやるか。体育館行くぞ。」
「やったーーーーーー!!!!!」
にんじんの叫びを合図に、体育館への移動が始まった。
***
「ただのドッジボールだとずっと暇な人もいるし、天下統一ドッジボールしないか?」
俺の提案に皆が首を傾げる。ナニソレオイシイノって顔だ。
「ルールは簡単だ。コートは体育館全部。敵味方は関係ない。ボールを当てられたら自分を当てた人が当てられるまで待機。ボールは2〜4個だ。」
「なんか…カオス。」
雪愛の言葉に俺は頷く。
「では当てても待機などせずにボールを当て続けるのはどうでしょうか?」
「それだ!カオスっぽくて良い!」
ひかりのアイディアに希空が賛成。
「それただボール当てるだけだろ…きりは良いのか?」
「めっちゃ楽しそうっす!それやろう!」
問題なかった。まぁ皆カオスが好きだからな。良いだろう。
「じゃあそれでやろう。」
準備体操を終え、バラバラに散ってもらう。
「始めるぞ〜!」
俺はリモコンのボタンを押す。すると体育館の隅からボールが2つ飛び出す。ボールはランダムな威力で体育館のステージ側と反対側に落下。
「最先端すげぇ…」
紫苑の言葉に皆が頷く。
「ほらーもう始まってんぞ!」
俺の一言で全員の目の色が明らかに戦闘態勢に入る。さっきのクチナシのような何かを感じた俺は密かに壁にあった体育館の耐久力増加、といういかにも最先端のようなスイッチを押すのであった。
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