第18話

うっ...。


 僕は異空間収納からポーションを取り出して使用する。ふぅ。さすがに危なかった。僕たち探索者はダンジョンに入る時にポーションを必ず一本以上は所持することが義務付けられている。


 取り出すのを少しにしてよかった。なんというかゴーレムと僕の間で取り出した衝撃が爆ぜたような感覚だった。


 言ってみれば、今回はその制度のおかげで助けられた状況だね。さっきの衝撃はおそらく異空間収納から出した衝撃が原因だと思う。


 僕はほんとに極々少数の衝撃だけ異空間収納から出してみると少し後ろに押される程度ですんだ。


 やっぱり収納から出した衝撃が原因だったみたいだね。


 そうだ。僕がずっと異空間収納使っててわかってきていたことがあって、収納から出す方向は自分で決めれるんだ。


 意識から外れていたゴーレムは起き上がって僕に攻撃してきた。僕はナイスタイミングとばかりに放出する方向を変えて衝撃を出してみる。


 するとゴーレムは吹き飛んで壁に打ちつけられた。しかし僕の方にも衝撃が伝わってくるようで一瞬後ろに倒れそうになった。


 けど、少ししか放出していないのにこれだけ吹き飛ばせれるってことは、もっと増やせば僕がまだ倒せない強敵ですら倒せるかもしれない.....。


 ただ、衝撃がやばすぎて僕も死んじゃうかと思ったけど、ジャンプした瞬間に取り出して壁に打ちつけられる時に吸収術を発動すれば僕にはノーダメージだしね。


 タイミングをミスれば壁に打ちつけられて即死もあり得るけど、飛んだ瞬間に発動すれば大丈夫でだろう。


 初めは吸収術を発動したら敵への壁の衝突の衝撃がなくなってしまうかと思ったけど、吸収術にも効果範囲があるみたいで壁に打ちつけられる前に範囲から出てしまうので大丈夫なようだ。


 試しに同じ階層にいる土のゴーレムで試してみることにした。ゴーレムが来たタイミングですぐに発動させる。すると僕とゴーレムは吹き飛び、打ちつけられたゴーレムは衝撃によって体が割れて核にすら亀裂が入って倒すことができた。


 僕がこの技を使いながら5層のボス部屋までいくとダンジョンで揉めている人がいる。


 見ると6人いるので恐らくボス部屋に入場制限があることを知らなかったんだろう。ダンジョンには入場制限があるため知らなかったのかな。


 ダンジョンには5層ごとにボス部屋があり、そこには5人ずつしか入れないんだ。大抵は探索者になる際の講習で習うことだけど、たまに聞いていない人たちがボス部屋前で揉めている時があるんだよね。


 僕が声をかけてイラつかせてしまっては良くないので、ボス部屋に入る前のセーフティーゾーンの一角で待つことにした。


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