七話【また3人で!】

「そうかみんな元気か! まさか8年以上も経ってるとはな〜 スワロもこっちに来たの2年前だって言うし、大分時間にズレがあるんだな」


「でもねベンゾウ、葬儀の準備中にご主人様が消えたから、絶対生きてるって思ってたよ!」


遺体が? こっちで生き返ったからか?


「まさか、スワロも生きてるなんて!」


「ああ、俺も驚いたよ」


惣一郎の顔が変わる。


「ベンゾウ、ごめんな。また巻き込んでしまって。こっちの厄災は然程強くはないんだが、厄災の王は流石に動きが早くてな、あのスピードに反応出来るとなるとベンゾウしか思い付かなかったんだ」


「ご主人様が困ってるならベンゾウ、いつだって助けに来るよ!」


「ああ、ありがとう…」


「弁慶も来たがってた!」


「ああ、コール出来るのも、サーチで感じ取れるのも、そのレーテウルあってだからな……って、なんでそれはあるんだ? 裸だったのに……」


デザートを平らげる、ベンゾウの左手首に巻かれたレーテウル。


「さぁ?」


そこにミネアが現れる。


「惣一郎様…… この方が惣一郎様と同じ勇者様ですか……」


「ああ、ベンゾウだ。後でみんなにも紹介するから」


「は、はい、畏まりました……」


驚いた表情のミネアが、すぐにベンゾウを見たまま階段を降り帰って行く。


「ご主人様の村の人?」


「ああ、他にも大勢いるから、後で紹介するよ」


「みんなもご主人様に、救われたんだね……」


ベンゾウに、かつての少女っぽさが無くなった様に感じる惣一郎。


成長したのは身体だけでは無いのだろう。


その後もお茶を飲みながら、色々と話す。


惣一郎の知らない8年間を。


みんなのその後の話には、時間を忘れ聞き入る惣一郎。


そこにスワロが目を覚まし、起きて来る。


泣きながら、ベンゾウとの再会をやり直すスワロ。


ベンゾウも、笑顔で涙を浮かべる。


懐かしい話しや、スワロの知らない話を肴に酒の量が増えて行く。


気付けば外は暗く、ドラミは帰って来なかった……






朝陽が射し込むベッドで目が覚める惣一郎。


飲み過ぎたか、記憶が無いが……



まぁ、こうなるか……



両脇で寝る、裸のベンゾウとスワロ。


惣一郎に節操が無い訳では無い。


ここでは、地球の倫理観は通用しない。


命の軽い世界で……


まっ、言い訳である。



ふたりが目覚めるまで惣一郎は、ネットでベンゾウの服や武器を検索する。


ミルドラ戦でベンゾウの愛刀、美善國家と國千代を失ったからだ。


あれに変わる武器は無いだろうが……


それでも使い慣れた小刀に近い物がいいだろう。


すると丁度、目を覚ますベンゾウ。


「おはよ… 良かった夢じゃなかった」


「ははは、おはよ! 今ちょうどベンゾウの武器を探してた所なんだ。何か注文はあるか?」


「ふぁ〜っ、大丈夫」


「いいのか? 前みたいに握りは木が良いとか」


「そうじゃなくて、武器いらないの!」


へ?


「おはよう主人よ。それとベンゾウ殿」


「おはよ」


起きてすぐ服を着だすスワロ。


「みんなにベンゾウ殿を、紹介せんとな!」


気怠そうに着替え始めるベンゾウ。


武器が要らないって、どういう事?







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