二話【新たな村人】
「クッソ〜 騙された!」
「寝てるからじゃないですか!」
起こされた惣一郎が購入した22人を改めて確認すると、戦えそうな戦士は3人しかおらず、生産系ドワーフが4人と残り15人は、見た目の良い若い娘であった。
考えれば分かる。
奴隷には生活が難しい若い娘が多いのは、当たり前だった。
今回のオークションは特に、戦士系が少なかったそうだ。
「オークションでは返品出来ませんよ!」
「わかってるよ、ゴゴ……」
渋々、コネリに総額分の魔石を渡し、契約の為に部屋を移動する惣一郎。
戦士系より、はるかに高い少女達。
確かに見た目も綺麗な子ばかりであるが、好みの熟女はいない。
肩を落とし部屋に入る惣一郎。
時間をかけ、一人づつ契約を結ぶ。
「こんな買い方する人は初めて見ましたよ!」
まだまだ魔石に余裕はあるので、もう少し店を見て回ろうか考える惣一郎だったが、取り敢えずこの人数で進めて見ようと諦める。
コネリに礼を言い、ゴゴと会場を出る惣一郎。
ゾロゾロと22人を引き連れて歩くふたりは恥ずかしそうに、顔を赤くしていた。
「この人数ですと、宿も限られますな〜」
「いや、何処か目立たない、緑の多い場所はないか?」
意味がよく分からず言われるがまま街外れの林に案内するゴゴ。
洞窟の中にはこういう場所も必要なのだろう、岩肌近くの家の裏にある林に着く。
惣一郎は種を出し地面に置くと、周りの木々そっくりな木が現れる。
その瞬間を見なければ、一本増えたことなど誰も気付かない事だろう。
「コレは、ツリーハウスですか! ですがこの人数では……」
「まぁ、ゴゴには色々世話になったし、お前も寄っていけ」
そう言うと惣一郎は全員を木の中へ案内する。
「おかえり、主人…よ………」
団体に驚くスワロ。
遅れて現れるミネア達も言葉を無くす。
「なんや、随分と若い娘を連れて来て、ハーレムでも作るんとちゃうやろな」
うるさいよ……
そのまま広い玄関奥の扉から中庭に出ると、全員集める惣一郎。
ゴゴと奴隷達は目を丸くし、5本の大きな木に囲まれた広い中庭で、放心状態だった。
「え〜 皆さん改めまして、俺は蟲を倒しながら旅をしている惣一郎と言います」
惣一郎は説明を省く為、隣に巨大な厄災の死骸を出す。
「ここは大きなツリーハウスの中です。皆さんにはここで生活をして頂きます。食事や部屋、着るものもこちらで用意しますが、皆さんにはここで生活に必要な仕事をしてもらいます」
みんな驚きすぎて、聞いてるのか聞いてないのかわからない顔であった。
「このツリーハウス…… いえ、この村の名はユグポンです。ツリーハウスなので持ち運びながら旅をして行くのですが、この中にいる分には蟲に襲われる事も無いので、安心して下さい」
「主人よ、皆驚いて聞いてないぞ……」
仕方ない……
惣一郎は中庭にいくつもベンチテーブルを出し、先ずは食事を摂らせる事にする。
ミネア達姉妹がせっせと手伝い、スワロが各テーブルを回り、不安を無くす様、話をしながら飲み物を配るが、ダークエルフという事で逆に不安にさせる。
惣一郎はドラミと取り敢えずの寝床を作りに、三段上の広場に大きな古屋を三つ立て始める。
ユグポンの中では、惣一郎の想像した古屋が地面から生えて来る。
興味からついて来たゴゴは、ずっと驚きっぱなしであった。
新たな仲間の内訳は、戦士予定の体格のいい虎の獣人の男。
長髪オールバックのイケメンエルフの男。
体に無数の傷痕がある、表情が分からないリザードマンの多分…男。
生産系は4人とも背の低い髭面のドワーフの男達。
そして見目麗しい人族の若い女性9人に、金髪エルフの綺麗な女性4人、牛と羊の獣人でセクシーな女性が2人。
驚く事に、全員名前が無い……………
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