異世界転移ボーナスでチートを手に入れたので、現代日本で新興宗教の教祖になります
CoGLOFT
第1話 異世界転移は突然に?
気が付いたとき、俺は暗闇の中に一人で突っ立っていた。
「ここは?」
俺は大学での講義が終わり、帰路についていたはずなのだが…
周りには何もない――少なくとも、視える範囲では。
何分一切光源が無いため、周りに何があるかなんて全然分からなかった。
大抵真っ暗な所であっても僅かな光源はあるもので、それ故に目が慣れさえすれば多少視えるようになるはずなのだが、残念なことにどうやら一切光が入ってきていないようだ。
一切、何も視えない。
「あーーー!」
叫んでみても反響は無い。ここが広い場所なら多少反響はありそうなものだが、まるで無響室のように不自然に俺の声は消えた。
耳を澄ましても、何も聞こえない。
「何事…?」
何かのドッキリだろうか?人を無響室に放り込んで驚かそう的な?
そんな拉致紛いのことがイマドキのテレビ局に出来るとは思えないし、友達同士の悪ふざけと考えても、残念ながら俺にはそんな気さくな間柄の友達に心当たりが無かった。
何も周りが見えない状態で歩き回るのは正直宜しくないところだが、他にすることも無かったので俺は周囲を歩き始める。
まるで高級なカーペットの上を歩くように足音が聞こえない。というか一切音が聞こえない。
床を触ってみると、随分とツルツルした材質だった。この質感でこれだけの遮音性を実現しているとは、現代科学は恐ろしいものだ。
引き続き、俺は周りに注意しながらゆっくりとこの暗闇を散策していく。
俺がここで目覚める直前、意識があるときの最後の記憶は大学の帰り道だ。だが、俺の通学は徒歩や自転車ではない、車通学である。
つまり、俺の最後の記憶では俺は運転中だった。
そこで意識が途切れたとなると、その後一体何があったのか非常に不安になる――事故を起こしてないだろうな。
もしや、ここは牢屋とかでは…と思ったところで。
「お目覚めになられましたか?」
謎の声が聞こえた。
声の主は目の前にいる。身長は俺とほぼ同じ、声は女だ――この至近距離にいて気づかないとは――いや、それよりもこの状況でいたって平静という雰囲気のこの声の主は、何者だ?
「まだ少し混乱していらっしゃるのでしょうか」
声の主は続ける。敵意は感じない。
「いや、何のことやらさっぱりだが、大丈夫だ」
何が大丈夫なのか分からないほど周囲の状況や意識が途切れる前後の繋がりが混乱しているが、俺はひとまずそう答えておいた。
「そうですか、それは良かったです」
彼女はそう答える。そして、続けてこう言った――
「それでは、これより儀式を開始します。」
「おめでとうございます、■■■様。あなたは異世界へと転移する資格を得ました」
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