夢見る少女は未来を識る
蔵密 りす
序章・少女と夢
これは、いつから見るようになったのだろう。
気がつくと違和感のある映像が目の前に広がっていた。自分は数多にひびの入ったコンクリートと何度も踏まれ固まった土でできた道の上を歩いている。周りには同じ方向に歩く学生服を着た少年少女と田園が広がり、遠くにはちらほらと家屋が軒を連ねている。行く先には週に5回も通っている学校が雄々しく立ち塞がっている。
何も違和感がない、いつもの通学風景だ。
━━そう、いつもと違うこの少し高い視点以外は。
この普段と違う視点の高さから定期的に見るあれだと思考が及ぶ。
違和感を意識しつつも何事もなく、ジャっザッっと砂利を踏み転がしながら歩くこの映像を自分は見続ける。
そうしていると途中で画面が途切れゆっくりと瞼が開く。そこは見知った天井が広がり、カーテン越しに入る朝日が部屋を明るく照らしている。毎日目にしている自室だ。自分の身体は寝具の中に収まっている。薄れつつある映像を思い出しながら布団を剥ぎ身体を起こす。
ああ、何も変わらないいつもの日常が続くのだと━━。
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