第9話きゃ~
「きゃ~、部屋が荒らされているわ!?」
自室である四畳半が、小物やテッシュペーパーで、辺り一面埋め尽くされていたのだ。
「い、一体……誰なの?」
恐怖で声がうわずりながらも、何とか絞り出す
その時、1階へ通じる階段から、何かを引き千切る音が、彼女の耳に届いた。
恐怖を覚えたが、勇気を振り絞って、その音に耳にを傾ける。
ぎぃ~ ぎぃ~
「えっ……、何?」
彼女はそう呟きつつ、音のする方へ足を向け、一歩また一歩と進んでいった。
その音の発生源に近づいていく度に、
ぎぃ~、ビリビリビリ
ぎぃ~、ビリビリビリ
今度は何かが破かれる音まで聞こえてきて、胸の鼓動が止まらなくなった。
しかし、ここで足が竦めば犯人が分からずじまいだろう。
それはそれで、悔しい。
迫り来る見えない恐怖と戦いながら、何とか1階の入口に辿り着いた
(あった!)
人差し指でスイッチを確認したことが、彼女に勇気を与えたようで……
「そこにいるのは誰!」
パッと灯りが点った刹那、部屋を荒らした犯人と目が合う。
その拍子に、
目の前には、灰色一色のまだ1才になるかならないかの子猫が、箱から口で咥えて引っ張り出したと思われるテッシュペーパーを、器用に両手で押さえている姿があった。
ぎぃ~、ビリビリビリ
ぎぃ~、ビリビリビリ
子猫は、特に危険ではないことを確認して、再び趣味のテッシュペーパーをバラバラにし始める。
そう。
部屋を荒らした犯人は、この子猫だった。
「へっ、部屋を掃除しなきゃ……」
力が抜け、瞳に悔し涙を浮かべた
お仕舞い!
令和3(2021)年5月4日作成
Mのお題
令和3(2021)年5月4日
「青の日」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます