第9話 死のブーメラン

農薬を販売する会社を営んでいる。


国内では使用禁止の薬でも、発展途上国では容認される場合がある。

その場合、一切遠慮なく売り付ける。

儲かるだけでなく、その国の発展のためにもなる。

どうせその薬品が含まれた物を私たちが食べることはないのだ。


突然血を吐いて倒れた。

がんが見つり、胃袋を失った。


見舞いに来てくれた妻に、何気なく訊いた。


「家で食べる物はちゃんとした物を選んでたんだろう?」

「全部、外国産ですよ」

「どこの国だよ?」

「聞いたことがない国ばかりです」

「何だと!ガンの原因になる農薬が使われているかもしれないんだぞ!」

「あなたが手を汚してまで稼がれたお金ですから、そう簡単に高い物を買うわけにいきません」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る