冴えない陰キャボッチの俺が、同じく“陰キャボッチ”の美少女に拾われましたよ

風鈴 美鈴

なんか、出会いがあったようですよ?

 この小説は、読者の皆さまを不快にさせてしまう表現や、私の偏見が混ざっているかもしれません。ご注意下さい。

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 『陰キャ』、『ボッチ』…………ついでに『コミュ症』。この三つのステータスをもった人達が、どれだけ苦しい思いをし、生きにくくなるか、なんて……きっと普通の人達には一生わからないだろう。

 そして俺……高瀬 煌(たかせ こう)もその一人だった。確かに俺はゲームやマンガが好きだったし、ステータスやチート……なんて物にも憧れていた。

 でも、こんなステータスなんて俺は望んでいなかったし、何よりもこのステータスのせいで今まで散々な目にあってきた。

 通っていた学校では、何かある事になんかのターゲットになってきたし、親からも見放されて追い出されてしまった。

 ……なんか、思い出したくもないが、親によると「高瀬家のはじだ、後継ぎにはできないから出ていけ……」とかなんとか?

 まあ、俺にとっては正直後継ぎも高瀬家も、どうでもいいんだよなぁ……。……というか高瀬家ってなんだよ。古っ?!

 くだらない。こんなの、茶番だ……。親のくだらない言い訳に過ぎない。

 というか、これからどうしようか。そもそも、俺には頼れる友達が一人もいないし、よくある幼馴染み……なんて、チートに近い存在すらいなかった。いや、いるにはいたが、あいにく、俺とあいつはそんな関係ではなかった。

 所詮そんなのは二次元……もっと詳しく言えばラブコメに過ぎないのだ。 

 はあ、やべぇ……むなしくなってきたわ。

なんかもう俺、別に生きてる意味なくね?

 だってほら……考えてみろよ。俺、これから生きててもホームレスだぞ…。金だってないし。おめでたいホームレスデビュー。嫌だろ、普通………。しかも今、冬だぞ。寒いし雪降ってるし、なんだよ、せめて苦しんでから◯ねってか?ふざけんなっ!!

 考えて考えて、寒さでおかしくなってしまったのか俺が導き出した答えは────

「よし、◯のう……」

 この一択だった。そしてその瞬間俺は橋の手すりに手をかけ………かけ………?ようとして誰かに止められた。

「ちょ、ちょっとっ!君、何してんのさ」

 少し焦ったように、俺の手を強引に掴引っ張ったのは……美少女だった。 

 勢い余って二人して倒れてしまったが、美少女はまったく気にしていないのか、慌てたた様子で話しかけてきた。……いや、正確には怒られた。急に!知らない美少女に!

 つまり何を言いたいかというと、怖いっ!

 思わず声がした方を振り向くと、さっきまで迫力のあった美少女の声が急にしおらしくなった。

「あ、え、と……。す、すみましぇ、あう」

 まるで別人かと思ってしまうくらいな美少女の切り替えに、若干驚いてしまった。

「じゃ、じゃなくてっ!あ、ご、ごめんなさい、です………」 

 大きな瞳いっぱいに涙をため顔を真っ赤にしながらも、彼女は話すのをやめなかった。

「なぜ、と、飛ぼう、と、思ったんです?きっと、か、悲しまれるかた、が、いますよ」

 いちばん、踏み込まれたくなかったことだった。でも、正直少し、誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。

 気付いたら俺は、初めて会った彼女に事情を話していた。

「……悲しむ人なんて、多分一人もいないと思います。俺の話、少しだけ聞いてくれ、ますか?……え、と……」

 そういえば名前、聞いてなかったな。

「私は鳴宮 茜(なるみや あかね)だ……で、す。私で、良ければ……」

 ん?あ、あぁ。俺も自己紹介しないとな。「俺は、高瀬 煌(たかせ こう)って、いいます…」

 自己紹介を終えると俺は、さっそく話し始めた。

「俺の家、厳しくって……テストで100点、学年一位は当たり前で、いつも完璧じゃなきゃいけなくて……」

 あぁ、思い出したら気持ち悪くなってきたなぁ……。

「体罰も普通にあって、いつも苦しくて、」

 バカみたいな話なのに、茜さんは静かに聞いてくれた。

「……そこから、人間不信になって……コミュ症、みたいな?あはは」

 なんて、軽く笑い飛ばしてみたが、茜さんはやっぱり真剣な顔で聞いてくれた。

「……まあ、そのあとプレッシャーに耐えられなくなって、引きこもりになって、堪忍袋の緒が切れた親から追い出されて今に至りますね……」

「……そうか。つまり………君はコミュ症、なんだなっ!」

「は?」

 なんだよ茜さん、さっきと違いすぎだろ。なに?なに?二重人格?少し、というかだいぶ、急にハイテンションになった茜さんに驚いてしまった。え、なに?この人陽キャなの?怖い、怖いよう。

「?おっと、すまなかった。私はもともとこういうやつでね。一応コミュ症だったんだが今はもう、こんな感じなんだよ」

「陰キャ限定でね!」

 嘘つけ!元陰キャが、こんなイケテる陽キャになれるわけないだろ。

 自然と俺は数歩、後ろに下がってしまう。

 あぁ、これが陰キャ本能ってやつなのか?

「……まあまあ、そんな怖がるな。君はこれからどうするんだ?追い出されたんだろ?寝床くらいなら用意してやるが……」

「は、はあ?な、なんで……」

 なんだ、誘拐か?新手の誘拐、なのか?

「答えは簡単!私がそういう事業をしているからだ。君みたいな子を保護して社会復帰させる、みたいな……」

「………」

「あぁ。もちろん、金は取らない。これでも結構稼いでるんだ。出世払いでもいい。私についてくるなら、この手を取ってくれ」 

 そう言って茜さんは俺に、手を差し出してきた。……正直、怪しいし怖い。

 でもまあ、どうせ死のうとしてたんだ。別に、この手を取ってもいいんじゃないか、そう思ってしまった。

「はい。これからよろしくお願いします」

 だから俺は、彼女の手を取って、ニッコリと笑った。

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 最後まで読んでくれてありがとうございます。出来る限りで頑張ります!

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