レイディオ・スピリッツ・インヴィジブル ~ 見えない電波の霊のお話
ととむん・まむぬーん
第1話
「またかよ。マジで意味わかんねぇ」
ここのところスマホの調子がえらく悪い。いつからだろう、とにかく参ってる。どんなかと言えば、タッチが効いたり効かなかったり、アイコンが無反応になったかと思えばいきなり消えてみたり。他にもワンタッチのつもりがダブルタッチになるってのもあったっけ。そんなのがいきなり起きるんだ、さすがにイラつく。
「Yo――Yo――どうした
最悪のタイミングでウザいのが現れた。オレら男子の中で一番小柄な
「
やっぱり来たか。長身で物静かなコイツは
「スマホの調子が悪くってさ、なんか知らんけど」
「どれどれ、見してみ」
そう言いながらW武の小さいほう、唐沢がオレのスマホをいじくり始めた。だけどそんなときに限って平常運転だ、唐沢の手元を覗き見ていた長瀬も「問題ないでしょ」と言って唐沢の手からスマホを受け取るとオレの前に返して寄越した。
「いや、そんなことは……あれ、なんか治ってるっぽい」
「ハイッ、一件落着。それではさっそく今日のメインイベントぉ!」
唐沢のヤツはいつもこんなだ、マジで勘弁してくれよ。で、イベントって何なんだよ、さっさと話せ。
「あさっての木曜日、カラオケパーティー開催。高坂政宗、君も当然参加っしょ」
「パス!」
即答。そんな金があるならスマホ買い替えの足しにしたいよ。
「マジかよ、マジかよ、
「てかさ、なんでオマエってオレをフルネームで呼ぶんだ?」
「そいつはもちろん語呂がいいから」
「オマエはラッパーかよ」
するとW武の大きい方、長瀬がすかさずフォローに入る。
「実はさ、まだ詳しくは話せないんだけどちょっとしたサプライズイベントなんだ。できれば男女の数を合わせたくてさ」
「なんだ数合わせかよ。モブキャラなら他をあたってくれよ」
「まあまあ、そういうなって。平日のハッピーアワーで安く上がるしさ、ちょっと考えてくれよ」
唐沢はまだしも長瀬がそこまで言うのなら。オレはとりあえず同意の返事をしておいた、生返事だけどな。
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