第8話

妹に小倉のパンツを持ちながら、「変態」と言われてしまった。


しかし、いつ俺の家に小倉のパンツがクローゼットの中に入れたのか思い出せない。多分だが、何らかの時に小倉が間違えて入れたのだと思うのだが...

まあ、小倉に会った時にでも聞くか....


「今日は、兄さんが変態だと分かったので兄さんの部屋で泊まります。」


「いや、帰りなよ」


彩は小倉のパンツをスカートについているポケットに入れた後、俺のベットに寝っ転がり俺の家から出ていかない意思表示なのか、ベットに敷いてある布団を被り、顔だけ出している。


「ダメです。兄さんが変な女性にたぶらかされていないかも見極めるために泊まります」


俺を悪い女に騙されていないのか心配なのだろうが、大学生では一応ぼっちなのでその心配は無いのだがな...悲しすぎてそんな事は言えない。


「彩は明日は学校じゃないのか?」


「違います。明日は祝日なので大丈夫です。」


っと、祝日マークのついたスマホ画面を俺に見せて、大丈夫な事を教えてくれた。


親父に頼んで、彩を迎えに来てもらうようにナインで連絡をとったのだが、『たまには妹の面倒を見てやれ、お前が一人暮らしで寂しいんだろう。兄を慕う良い妹じゃないか。こっちは、お母さんと夫婦水入らずで、ハッスルするから泊めてやれ、母さんも彩がそっちで泊まるのを了承しているし、今日くらい止めてやれ。by妹に手を出すなよ』


「妹に手を出すか!!」


親父....息子になんて言う文章を送ってんだよ!!


っと、スマホ画面を見ながらつっこんでしまった

頑なに彩が帰らないので、渋々1泊だけ泊めてあげることにした。


「俺の家には、布団はないぞ?」


「じゃあ、兄さんの家にパンツを置いていった人は、どうやって泊まったの?」


「それは、俺のベットを占領して、俺が床で寝てたけど....」


「じゃあ、兄さんは私にこのベットを譲って欲しいな〜♡」


「仕方ないな〜」


彩は、とびっきりの笑顔のつもりなのだろうが、妹の表情筋が死んでいるため、表示はあまり変わっていないが、ベットから上半身を起こして、両指をつけおねだりしたポーズが可愛かったので、彩にベットで寝る権利を譲ってあげた。


(兄さんちょろすぎ....)


「何かいったか?」


彩がボッソっと何か言ったような気がするが、小さな声で聞き取れなかった。


「ん〜ん、なんでもないよ〜」


彩は布団で顔を隠し、何を言ったのか分からないが、はぐらされたような気がする。


「じゃあ、近くのスーパーにでも行くか?」


「行こー」


夕方になり、夜ご飯の買い出しをするためにスーパーに行くことになり、彩はようやくベットから起き上がった。


このスーパーはたまにドリアンなど変わった果物を置くので、たまに臭いが、品揃えがよく近いのでよく使っている。


「あ、兄さんは一人暮らしでお金いるかもしれないから、食費半分出してあげる。」


「おお〜助かる!!彩は良い子だな〜」


「兄さん...頭を撫でてもいいよ?」


彩は表情筋が死んでいるにで、無表情なのだが、褒めると『頭を撫でてもいいよ?』っと言ってくる。頭を撫でると嫌だとか嬉しいなど表情は読み取れないが、多分嬉しそうにしている。


このまま、頭を撫でていると猫みたいに『ゴロゴロ』と鳴くのではないかと思ってしまう。


しかし、食費半分も出してくれるのはありがた過ぎる。


どっかの誰かさんは、全額食費を奢させられるからか、一段と彩への感謝が高まる。

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