第7話 あまのじゃくの恋 (引っ越し)
「あ、もしかして津山さんですか?」
エレベーターを待っていると、年配の男の人に声をかけれられた私はその人の方に視線を
向ける。
「あ、はい」
「あ、私、管理人の
「え、管理人さんですか。あ、私、今日から705号室に入居する津山萌衣です。
あの、先ほどは荷物、ありがとうございました」
「ああ、いえ。荷物はもう届いていますよ」
「はい」
「これ、受け取り用紙です。サインしておきました」
藤城は荷物の受け取り用紙を萌衣に渡す。
「色々とお世話になりました」
「何か困ったことがあればいつでも言ってくださいね」
「ありがとうございます」
「あ、それから部屋の鍵は暗証番号と同じ数字で開くようになってますから、
暗証番号は忘れないようにしてくださいね」
「はい。それは、不動産屋の人にも言われました。なので、覚えやすい番号に
しました」
「そうですか。なら、よかったです」
「ワンルームなのにセキュリティがしっかりしていてビックリしました」
「このマンションを建てる時、息子に
『セキュリティだけはしっかりしておいた
ほうがいい』って言われてね…」
「いい息子さんですね」
「それは、どうかわからないけど…」
エレベーターが1階に到着する。
「エレベーター、来たみたいですね」
「あ、はい」
私は管理人さんに向けて軽く頭を下げると、扉が開いたエレベーターに
乗り込んだ。
管理人さんは朗らかなおじさん? ーとまではいかないが、
60代くらいの優しそうな人だった。
私が乗ったエレベーターは急上昇し、7階まで来ると『チン』って
音が鳴り扉が開いた。
そして、エレベーターを降りた私は、705号室へと向かって廊下をまっすぐ
進んで行った。
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