三幕 弦を掻き鳴らす

ある金色 ある白銀


猛る王の剣の舞は

涙を止める価値はあり

頬を染める価値はなし


とろけし民のその心

過ぎし昼夜は幾日か


強さの矜持は無意味と知った

金色が求めし白銀は

身を伏せいまも花と咲く


取り出したるは我が髭と

蹄で作りし音の種

銀の刃をかざした誰かの

かき鳴らしたる 壊れた音を


む子らは横に揺れ

肉食む子らは縦に揺れ

キリンのうたた寝 光揺れ

足踏み鳴らし 大地揺れ


一丸となりし宴場うたげば

ひとたび夜の幕が下り

顔を出したる月の眼差し

白銀のみを照らすが如く


白銀細くまなじりを下げ

ただまた首をかしげたり


足すら見えぬ伏した身の

陰より覗く玉の尾先

ただ一度振り パタリと落ちた


弦の宴 猛き王は

王となった


白銀を望む金色に

それは夜闇に見えないままで


音が跳ねる ひとつ ふたつ

みっつ よつ 鳴り止まない夜に


あの邂逅かいこうで刻まれた

金色の中の 白銀の声はない








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