九十九の複眼【詩集】

三度目の正直屋さん

さぁさぁ！

寄ってらっしゃい　見てらっしゃい

同じものしか並べてないが

売れ筋だからしょうがない！

ねえさん　にいさん　あらマダム

坊ちゃん　嬢ちゃん　若いねじいさん

丹精こめてこしらえた

おいらの商品持ってって

うん？　見えないだって？

バカ言っちゃあいけねぇよ

こんなにたくさん並んでる

よーく見えるぜ　おいらには

名前くらいは教えろよ？

野暮だがしゃあねぇ

よく聞きな

ここは三度目の正直屋

あんたに　あんたも

あんたに　あんたも

背中を叩いて　押しての

叩き売り

三度目の正直屋さんたぁ

おいらさお客さん！

もう並んだ商品は見えたかい？

言い値でいいよ

持ってきな

あんたの挑戦教えてくんな

かけっこ一番？　良いね坊ちゃん

ひとりで留守番　大事だ嬢ちゃん

挑戦権はつかんだかい？

勇気はおいらの掛け声さ！

はいよ　マダムは何にする？

三度目なんてないってか？

馬鹿を言いなよ麗しの君

ならば手本だ　ほいじいさん

孫に手づくりパンケーキ

いくつになってもあるもんだ

でもマダムに孫は早ぇ

なんかも一つ頼むよじいさん

あん？　お耳を拝借とな？

ふんふん　ほんほん

あーあーあー

それ本当に三度目かい？

まぁ嬢ちゃん坊ちゃんにはナイショ

マダムこちらへお耳を拝借

ツーツートントンてなもんだ

真っ赤とくれば初耳かい？

やってみるのも楽しいもんさ

今日は果報だお客さん

三度目の正直屋に

初物ござい

皆々縁起が良いもんだ

挑戦　チャレンジ

完売御礼！

自慢の太鼓で送り出そうか

支払いなんて野暮はいけねぇ

ツケとくもんで

またおいで

土産話で支払いな

まずは挑戦ありがとう

嬉しい報告待ってるぜ！

悲しくたって　いっしょに笑うさ

お菓子も酒も　ほらこのとおり

ふれー　ふれ

ドンドンドンってね