一滴

君 溶けることなかれ

君 腐ることなかれ

君 地に伏すことなかれ


一滴


搾りだしたる結晶は


毎夜の朝の

毎日の終末の

銃痕とく赤きとて


一滴 一滴


歯噛みする感情は


其方の彼の

彼方の吾の

伸ばす手 届かざるを知る

見渡せど誰ぞ写らぬと知る



されど君 恨むことなかれ

されど君 止まるなかれ

君は やめることなかれ


孤独の耳鳴


突きつけられる現実は


世界は毒と

言葉は剣と

弓ひかれ矢が貫き

心命閉ざすべきと誤解す


一滴


孤独に知れ

孤独はないと

無音に叩く言霊あると

其の同輩は次元を断つと


一滴 穿つ


共に友にと

見つめる先の

見えぬ想いに背中を押すと

其の同輩は側で笑うと


君 顔を上げんや

君 瞳燃やさんや

君 足元見るなかれ


傷つき滴る赤一滴

輝き満つる炎たる

君たらしめるもの美しくあれ

滴る赤も美しくあらん



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る