チカンから助けた美少女がヤンデレ過ぎて、ボクまで病みそうです
中村 青
第1話 僕と悠衣さんの出会い
どうしてこうなった?
僕はただ、草むらの影でチカンに襲われていた女の子を助けただけなのに、どうして僕が騎乗位でマウントを取られているんだ?
「あぁ、愛しの私の王子様。白馬の王子様なんておとぎ話だけの存在だと思って諦めていたのに、本当に存在したんですね?」
「い、いやいや! 僕は王子じゃないし、白馬の王子なんて日本中どこを探しても存在しないから!」
「よく見れば可愛らしいお顔……。なんて素敵で吸い寄せられる唇。あぁ、食べちゃいたい♡」
「食べ……!? いやいや食べないで、これでも僕たち初めて話した仲だから!!」
学園でも美少女と名高い、色白で黒いロングの髪が特徴的な彼女の名前は
芸能人顔負けの彼女だが、その見た目以上に有名な事実があった。
それはヤンデレ───……。
そう、彼女は学園一の病み系女子として敬遠されていたのだ。
彼女が残した数々の病みエピソードは噂として語られているので、是非とも話してあげたいところなのだが、今はそれどころではない。
僕は迫り来る唇を回避するのに必死だった。
思い返せば十六年間、こんな間近に女の子にせがまれた経験なんて皆無だった為、ダイレクトに伝わる下腹部への重み、温かさ、柔らかさとか───陶器人形の白磁器のような綺麗な肌、赤みを帯びた唇、そして長いまつ毛に澄んだ瞳が、最後の砦をぶち壊そうと猛攻撃を仕掛けていた。
───が、ここで屈する訳にはいかない!
僕は見返りが欲しくて助けたわけではない。
困っている人がいたから、か弱い女性が強姦に襲われているのを見て見ぬふりが出来なかっただけだ。だからこんな展開は望んでいない! 間違っているんだ!
「ところで、大変申し訳ないのですが、貴方のお名前は何でしょう?」
「え、知らないの!?」
この人は名前も知らない男に跨って、キスを迫っているのか? ありえない、流石常識では計り知れない、
「私と同じ高校の制服なのは分かったんですが……申し訳ございません。興味のない方の名前は記憶しないようにしていたもので」
微塵も悪びれた片鱗も見せずに、サラリと白状する様子を見て、妙な納得を覚えた。
とはいえ、仮にも同じクラスなのに……。彼女にとって同級生は覚える価値もない
仕方ない……、僕だって自分の立ち位置くらいは弁えている。
「た、
「まぁ、同じクラスメイトでした? これぞ正に運命……。希一さま。あぁ、なんて素敵なお名前でしょう!」
うっとりした顔で頬染めして───って、せっかく広げた距離がキスまであと五センチまで縮まった。
「待って、ちょっと! 東さん、ちょっと離れて!」
「待てません。私、希一さまに助けて頂いた興奮で、アドレナリンがドバドバ出ていて制御不可能なんです。私を助けたいと思うなら、観念して唇を差し出してください」
信じられないだろうが、これが僕と東さんの初めての会話だった。
そして僕はこれから先ずっと、東さんに付きまとわれることになる。それはストーカー顔負けに、どこまでもどこまでも……。
———……★
数々の小説の中から、この話をお読み頂き、ありがとうございます! ご存知の通り、この小説は前にアップしていた話のリニューアルになります。
(ちょっとご指摘を頂いたので、しばらくの間公開ストップしていました)
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