空、雲、光

物心ついた頃には きっと誰もが

青い空の日に 清々しい気持ちになり

白い雲の形に なんだか面白味を感じ

温かい陽の光に 励まされる

そんな気持ちをもつだろう


それはこの地球に生まれた 我々地球人類の

生まれ持った特権だと いえるかもしれない


「青い空も良いが 私は夜のあの、青に黒を染め流す空の色も素敵だと思う」

そんな声がして それもまたよし、と私は膝を叩く

静かに流れていく暗闇のなかの光たち

星々の静かなるまたたきは

私たちの心を常に 慰めてくれた


私もふと幼心 あの星々のまたたきに

目を奪われたことがある

それは折檻の まあ、家で騒いで外に出された時に

最中に見た 金色の そして銀色の星たちだ

泣いている妹を背にして見た星の

綺麗に光る その姿に

どれだけ希望を貰ったか 計り知れない


闇夜に震えた夜は 月が夜道を照らしてくれた

街灯の光では、 なかなか 人生の夜道は心許ない


あの本源的な光 ―――月光だ


太陽の全てを照らす暖かな光とは

また別である 夜に相応しい 温もりのある光



地上は 小さいものの憎しみや嫉妬で

溢れかえっていた

悲しみと怒りの涙が また露として消えていった


ただ、正義と勇気の 言葉と声だけが

私の胸に 突き刺さった


苦しくて 悲しくて

どうしようもない時には


空を見上げた


空には 無数の 雨雲があった


そして 雨雲は太陽からの光を 妨げた


しかしなお 雨雲よりもはるか高くのところ

天高くには 太陽が赫々(かっかく)と

燃え上がっていた


私はそれを信じた

信じて歩き続けたのだった


そして いつの日か

この雨雲よりも 大きくなろうと思った

八月の雨雲 入道雲が 大きく大きく聳え立って


私の空を塞ぐように 大きく大きく立ちはだかっても


私はそれを 突き抜けて

光を届ける人になろう


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