詩集 日常ほろほろ

かさかさたろう

文(ふみ)

こうやって文章を書く時に

僕は消しゴムなんて使わないんだよ

昔はね 小学校の先生に

ここが汚いから消しゴムで消して

なんて言われて消してたけどね

消した文(ふみ)はどこかへいってね

失くなってしまって悲しいもの


人生はね 足どりを

間違っても消せやしない

1回こっきりのことが多いからね

そりゃ決して 取り返しがつかないことばかりでは

ないんだけどね

それでも何回も消して書き直す

ことは出来やしないしね

体裁だけを整えて

格好だけ綺麗にしてね

そんなのって なんだか変

消えてしまった文(ふみ)にはね

どれだけ思いを注いだの?


そう思うとね

僕は消しゴムなんて使えなくなってしまってね

間違えたことも僕の歴史だからね

二重線を引いてね

ハートマークなんかつけてね

新しく書き直すのさ

間違ってしまっても

それが僕の歴史だろう?

そうやってね


何回もやり直して

生きていくんだろう?


そのうちね

消さなくてもいい文(ふみ)ばかり

書けるようになるかもしれないよ。


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