第14話 愛は、無縁

付き合ってほしいんだけど。


直道から、そう聞いたのは、とある日のことだった。


人喰い鬼が、死を迎えるんだよね。

看取る人間がひとり、って言うのも悲しいと思うから、付き合ってほしいんだけど。


わたしは、死んでほしくないし、説得したんだけどね。


瓜連。うりづら。アイヌ語で、丘の連なるところ、だそうだ。ユダヤの言葉だと、ヘブライ語だとどうだろう。


鬼の家は、神社からそう遠くない場所にあった。


鬼は、美人だった。


食べないの、と、直道が、その血を差し出す。


鬼というのは、人の血液と、肉をもって生きている。だから、あなたが延命するなら、この血を飲んでほしい。


彼女は、拒んだ。


生きていても仕方ないの。

あの人が死んだから、震災のあの日に。


あれから、11年、もう、人の世だと12年か。そんなに経つし、人間を喰らってまで生きてちゃ、ダメなのよ。


あなたより、人間らしい人は、いない。


直道がいう。


その子は、と、鬼がいう。


。。。


禁忌を犯したのね。


え、と僕がいう。


つくもがみ。


人間が、神になっちゃいけないのよ。

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