第10話 Dランクダンジョンに挑戦

「よし、行くぞリーサ!」


「うんっ!」


『依頼No:D156710、状況開始します。

依頼主クライアントからは、本日20時までの退治クリアを求められています』


『ユウさんたちなら大丈夫かと思いますが、一応気を付けてくださいね』


「了解だ、フェリナ」

「リーサにお任せだよ! お姉ちゃん!」


『ふふっ……晩ご飯に出前を頼んでおくわね?』


「やたっ!」


 リーサの学校終わりの仕事なので、現在16時。

 4時間もあれば十分だが、色々試してみたいので時間は気にしておこう。


「よし、ステータスをチャージするぞ?」


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 ■個人情報

 明石 優(アカシ ユウ)

 年齢:25歳 性別:男

 所属:F・ノーツギルド

 ランク:D

 スキルポイント残高:2,100(-2,350)

 スキルポイント獲得倍率:ち$か#%

 口座残高:780,800円

 称号:ドラゴンスレイヤー


 ■ステータス

 HP  :200/200

 MP  :50/50

 攻撃力 :100(+30)

 防御力 :100(+50)

 素早さ :50

 魔力  :50

 運の良さ:30


 ■装備/スキル

 武器:チタンブレード(30×5回)

 防具:チェインメイル(50×5回)

 特殊スキル:ヒールLV2(30×5回)、攻撃強化技10%(100×1回)

      スタン斬り(10×2回)

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 ■個人情報

 アカシ リーサ・レンフィード

 年齢:11歳 性別:女

 所属:明石 優のパートナー

 ランク:H(ダンジョンバスター見習い)


 ■ステータス

 HP  :100/100

 MP  :100/100

 攻撃力 :50(+30)

 防御力 :50(+30)

 素早さ :100

 魔力  :100

 運の良さ:50

 武器:チタントンファー(30×5回)

   ボウガン(10×10回)

 防具:ファイバーブレザー+(30×5回)

 特殊スキル:ファイアLV2(30×5回)

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「リーサは雑魚掃除を頼む」


「はーい」


 俺が前衛+盾役、リーサが後衛で素早さを生かして雑魚掃除兼魔法担当という構成だ。


「それじゃあ、リーサ。

 スキルポイント獲得倍率の監視も頼む」


「めもめも」


 現在の獲得倍率は”ち$か#%”、相変わらずバグった表示である。


「じゃあ行くか」


「うぃっ!」

「……なんか壁がグネグネだね」


 Dランクダンジョンの見た目は”生物系”になることが多い。

 果汁グミのような赤色をしたダンジョンの奥に向かって歩き出す。



 ***  ***


「現在の移動量、徒歩765歩。

 スキルポイント獲得倍率、変化な~し!」


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 スキルポイント獲得倍率:ち$か#%

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「ふむ……」


 ただ歩いただけではダメらしい。


 ゴブゴブッ!


「……次は戦ってみるか」


「らじゃ!」


 ちょうどいいタイミングでゴブリンとコボルドの群れが現れた。


「まずは打撃のみで行こう」


「うん!」


 テストその一:武器攻撃で戦うとどうなるか。



 ***  ***


「ふっ!!」


 ザンッ!


 薙ぎ払いの一撃が、ゴブリンを真っ二つに両断する。


「たあっ!」


 どしゅっ……バコッ!


 ボウガンで動きを止め、膝蹴りで吹き飛ばす。


「へぇ」


 リーサの蹴りは様になっている。

 友達の教えたかもいいんだろうが、リーサのセンスもよさそうだ。


「だって、ユウの娘だから……当然だよ!」


「ほうっ!?」


 無邪気なリーサの言葉に、嬉しくて涙ぐんでしまう。


「よ、よしっ。

 獲得倍率を確認しよう」


 ======

 スキルポイント獲得倍率:ち(か*%

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「あっ♪」


「なるほど」


 スキルポイント獲得倍率の2文字目と4文字目が変わっている。


 ズズズズッ


「……お」


 今度は岩石ゴーレムが現れた。

 コイツは打撃攻撃の効きが薄い。


「次は、スキルで戦うぞ?」


「は~いっ」


 テストその二:魔法など、スキルで戦うとどうなるか



 ***  ***


「”スタン斬り”!」


「”ファイア”!」


 相手をスタンさせる剣技スキルで岩石ゴーレムが転倒したところに、リーサの攻撃魔法が炸裂する。


 ゴオオオオッ!


「よし、倒せたな」


「獲得倍率の確認だねっ!」


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 スキルポイント獲得倍率:あ(く*%

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「わあっ♪」


「そういうことか」


 スキルのみで戦うと、1文字目と3文字目が変化した。


 ガゴ……ガゴガゴガゴ


 通路の奥から現れたのは、ガーゴイル。

 恐らくこのダンジョンのボスキャラだ。


「よし、リーサ。

 次は……全力でボスを倒す!!」


「ういっ!」


 テストその三:ボスバトルに挑んでみる


 ***  ***


「”ファイア”!」


 ゴオオッ


 飛び上がり、上空から攻撃しようとするガーゴイルをリーサの魔法が牽制する。


「いまだ!」


 チャンスと感じた俺は、とっておきのスキルを発動させる。


「”攻撃強化技10%”!」


 ヴィイインッ


 赤く輝く、チタンブレードの刀身。

 コイツは攻撃力を上げるだけでなく、魔力を刀身に纏わせガーゴイルのような硬い敵にも打撃が利くようになるのだ。


「これで……終わりだっ!」


 ガコオッ!


 渾身の一撃が、ガーゴイルを粉々に打ち砕く。


「ふうっ」


「やった~~! 凄いよユウ!」


 だきっ!


 歓声を上げ、抱きついてくるリーサ。


「リーサもナイスアシストだったぞ?」


「えへへ~」


 もふもふの銀髪をぐりぐりと撫でる。


 ソロで潜ることが多かったから、やっぱりパートナーがいるのは心強い。

 それが自分の娘というのは少し心配だが……。


「ちょっとだけ……あの頃みたいだね?」


「---」


 少し大人っぽい笑みを浮かべるリーサに何か言おうとした時、ボスが倒されたダンジョンは暗転し、俺たちは地下街のバックヤードに戻ってくる。


『依頼No:D156710、Dランクダンジョンの消失を確認しました。

 ふふっ、二人ともお疲れ様です』


 フェリナの涼やかな声が仕事の終わりを告げてくれる。


「そうだユウ、獲得倍率を確認しないと!」


 そうだった。

 俺はアプリで自分のステータスを表示する。


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 スキルポイント獲得倍率:え6こ@%

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「やっぱりか」


 打撃とスキルの両方を使ったので、全部の文字が変わっている。

 ボスモンスターの影響があったかどうかはまだ分からない。


『残りのステータスを清算し、スキルポイント575が返却されました』

『現金報酬90,000円 スキルポイント報酬:2,385(獲得倍率:え6こ@%)』


「ほう……」


 Dランクダンジョンのスキルポイント獲得量は1000~2000ほど。

 もちろん通常より多いが、とんでもない倍率ではない。


「たぶんだけど、文字の組み合わせで倍率が変化するんだと思う」


 リーサの言葉に頷く。


「その法則が分かればいいんだけど……たくさんのサンプルが必要だね」


「ということは」


 ダンジョンを狩りまくって、データを集める必要があるという事だ。


『そういう事なら……ノーツのツテをあたって依頼を集めてみますね』


「ほんと!?」


「……そこまでしてもらって大丈夫か?」


 美味しいダンジョンの依頼はギルド間で取り合いになる。

 F、Gランクならともかく、Dランク以上の依頼の確保は結構大変なはずだ。


『いえいえ、ラボの方からもっといろんなデータが欲しいと言われてますので』


 それなら、ありがたくお言葉に甘えることにしよう。


「フェリナお姉ちゃん! 今日の晩ごはんは何?」


『チーター亭のハンバーグですよ』


「!! やった~!

 あとでリーサが”あ~ん”したげるね!」


『……はうっ』


 ……俺にもして欲しい。


 さらにフェリナは知らないだろう。

 ランドセルを背負った制服姿のリーサという、最強のカワイイが来襲する事を。


 くくくくっ……。


 リーサの手を引きながら、俺はフェリナのオフィスへと向かう。

 もしたくさんダンジョンを狩れるのなら……あの妄想を実現に移してもいいかもしれない。

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