火の意思

ミンイチ

第1話

 この世界に文明が生まれる少し前に、僕は生まれた。


 生まれるきっかけは、人類の祖先が火を手にしたことだ。


 その時から、道具としての『火』という僕が生まれた。


 生まれるきっかけとなった火はすでに消えてしまっているけれど、人が使う別の火と意識や記憶が引き継がれていくので僕という存在は消えず、たくさんあり、そして一つである。



 人類が何かをするときは火を使いながら行うことがほとんどになったことで、僕はさまざまなものを見てきた。


 美しい景色を見ることもあれば、大冒険に付き合った時もある。


 そして、さまざまな進歩の瞬間も見てきた。


 しかし、逆に醜いものも見てきた。


 人同士で争う瞬間や、他の生物を遊び感覚で殺し合う瞬間。


 そして、『火』を使って同族を殺すところも何回も見てきた。



 そんな人類に生み出されたのが僕ではあるが、僕が人類をそんなふうにしたとも言える。


 人類はなぜ僕を生み出し、活用できるようになったのだろう

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火の意思 ミンイチ @DoTK

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