野良猫を幸せにする話
シトラス
プロローグ
とある小さな村に銀髪でふわふわとした猫のような耳の生えた可愛らしい少女が産まれた。残念な点を挙げるとすれば、両親以外はその少女を気味悪がったことぐらいだろうか。
そんな娘の将来を母親は懸念し、料理、掃除、洗濯…生活で必要なことはすべて教え、父親は不幸な娘を少しでも幸せにしようと仕事に励み、収入を少しでも増やそうとした。
朝食を作る母親を手伝う。母親が洗濯板で擦った衣服を物干し竿に吊るす。掃除を分担して行う。昼食の準備を手伝う。干した洗濯物を取り込む。母親と日光を浴びながら少し眠る。くたくたになって帰ってくるであろう父親のために母親と夕食を作る。案の定くたくたになって帰ってきた父親も含め家族で夕食を食べる。体を洗い暖かい布団で寝る。村八分にされながらも、安い賃金と重い税にくるしみながらも、小さな幸せを味わいながら暮らしていた。
そんな幸せが続けばどれ程よかっただろう。彼女は不幸だった。
18になるときに流行り病で両親は死んでしまった。村の人は彼女が起こした呪いだと言った。
彼女は村から逃げた。こんなところから逃げ出したかった。
逃げて逃げて、靴も服もボロボロになっても逃げて、そして倒れた。やはり彼女は不幸だった。
そんな彼女をしがない村医者の俺は拾った。
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