因縁の二人
扉が閉まる音がしたと同時に二人の足音がきこえてきた。
おそらく向こうにいるだろう二人のうち一人の声が大きく響いた。
「ふざけんなぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
怒号が聞こえるとともに激しい物音がきこえる。多分だが机かなにかを蹴ったような感じだった。続いてもうひとりの男―――田辺くんの声が続くように発せられた。
「黙れぇ!!!」
その声にビクッとする。
「お前じゃ、俺を犯人にできねぇだろぉ!?」
彼は続けて言う。
「それに俺は犯人じゃねーよ!!」
すると、アリスがものすごいスピードで彼らのいる教室に入った。それに私と佐々木さんも続いて教室に入る。アリスが
「何してんの!?」
と言うと、彼は逃げようとした。しかし、ドアは閉まっている。彼が振り返ると、アリスが彼の腕をつかんだ。
「ちょっとこっち来て!」
と言って、無理やり引っ張っていく。そして、そのまま階段の踊り場に連れて行った。私は佐々木さんと一緒に、そのあとを追いかけた。
「ねぇ、なんであんなことしたの!?」
「……だってあいつ、俺のこと犯人扱いするんだぜ?そりゃあ、怒るだろ?」
「だからって暴力はダメでしょ!?」
「……うるせーよ!」
と言って、手を振り上げる。危ない!!
ガシッ!
「ちょっと待って!」
「ミカ!?」
「なんだよ!」
「落ち着いて!話せばわかるわ!」
「うるさい!離せよ!」
「痛いっ!」
アリスは頬を抑えていた。どうやら、叩かれたらしい。
私は怒りがこみ上げてきた。なんでこんな酷いことをするんだろう?許せない! でも、今は冷静にならなくては……。
そう思って深呼吸をする。
落ち着け
「アリス?大丈夫?」
「うん……。なんとかね……。」
「よかった……。」
少し涙ぐんでいるようだった。きっと痛かったんだろう。
「ねぇ、強志くん。どうしてあんなことしたの?」
「……。」
彼は黙り込んだまま何も言わない。
「黙ってたらわからないよ?」
佐々木さんが言った。
「…………だよ。」
「え?」
「あいつが俺のことを犯人扱いするから悪いんだろ!?」
「でも、暴力はダメでしょう?あなたがやったことは犯罪よ!」
「うぅ……。」
佐々木さんの言葉に彼は黙り込む。
「それにあなたにはアリバイがあるでしょ?」
「え?あぁ。」
「だから、あなたは犯人じゃないわ」
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