最強魔法使い（魔王）が魔王を倒す。

第1話 魔王、冒険者となる。

「殿。いや、黒召。お前はここで終わりだ。」

龍暦3786年。魔王城は、ミノタウルス軍に囲まれていた。

当の魔王はというと、ミノタウルス軍を率いるギイドを中心とした精鋭に、殺されかけていた。

「召喚魔法が得意な魔王さん。お前も流石にここで魔法は使えない。」

周囲に貼られた結界、『アンチマジックソーサー』により、魔法の発動は不可能。

「死ねぇ！」

ーードスッ

　　　　　　　　　　　　　　　　＊　＊　＊

……………ぉぃ……ぉき……………いつま………てんだ……………………………………

「早く起きろ！こんなところで寝てたら危ねぇぞ！」

目を開けると、目の前には、いかにもおっさんってカンジの中堅な男性。

自らの姿を見ると、普通にイケメンな若者。

少し混乱しつつも、彼は続く言葉に驚愕した。

「あの魔王城に住む魔王が反乱に遭い、ミノタウルスが新たな魔王となったんだぞ！」

空いた口が塞がらなかった。

「どこの冒険者だかしらねえがさっさと逃げねえと犬死にするぞ！」

魔王…その名をガルフという。

言われるがままについていった先は、村だった。

自分が生きていることを知れば何が何でも殺しにくるだろう。

アイツにバレないように力をつけ、アイツに復讐する。

つまり、闇討ちだ。