【三題噺 #28】「口笛」「予言」「作文」(544文字)
天使養成学校
天使になるには天使養成学校に行き、そこで見習い天使として勉強し優秀な成績で卒業しないといけない。卒業できるのはわずかな人数で、その中でも天使になることができるのはほんの一握りだ。
ある日、「幸せな人生」という子供の作文のような課題が出た。
人間に予言という形で言葉を与え、その人間を幸せにするという課題だ。
見習い天使には本物の人間を使うことができないので、人間もどきを使う。人間もどきは人間と同じように考え行動することができる。
僕が担当する人間もどきは、大学受験に失敗し希望した職業につけなかった二十五歳の男性だ。
毎日やる気なく生きているこの男のデータをチェックすると頭は悪くない。ただ諦めるのが早いので、大学模試での結果が悪かったからと言って早々に諦めてしまったようだ。
この人間もどきにアドバイスを与えて、幸せな人生を送らせなければいけない。
僕のアドバイスが良かったのか人間もどきは仕事をしながら勉強し、希望していた大学に合格した。そして、彼が夢見ていた研究者として生きていくことになった。
その筋からは、優秀な研究者として一目を置かれる存在となった。
その結果、人間もどきは処分され、僕は天使になれなくなった。
人間もどきは、鼻歌を歌いながら殺戮兵器を設計するような研究者になってしまったのだ。
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